この事は決して誰にも言えない。
そんな秘密。
持っている人はいるだろうか。
自分の事は隠す。
が、
人の事は言いたい。
もうあちらに旅立ってから
何十年にもなる家族から、
打ち明け話を聞いたのは、
更にそれよりもずいぶん前になる。
たぶん、
酔ったはずみか、
それとも言いたかったのか、
わからないが
とにかく、
相手がある話しだったから、
その相手のためにも
これは他言出来ないと、
思ったのを覚えている。
「これは墓場まで」
のうちのひとつだ。
父から、
一緒に暮らしている姉の事で、
頼みごとをされた。
今、四十路の次女が生まれていない頃だから、
まだまだ私も若かった。
「あれは、おれが育て方を間違えた。
ヒステリーを起こすと、手がつけられない。
家のものはみんなどうしようもなくなるから、
何か思うことがあっても、
お前が我慢してくれないか。」
と、言うものだった。
大好きな父からのお願いを
断ることは出来なかった。
そうして、
父亡き後は、
想像通りの未来になってしまったが。
この父からのお願い。
これも誰にも言えないひとつだったが、
旅立ってから家族に話しをしたことがある。
こうして、
何度か書いたり、話したりしているが、
父のことを思うと、
なんだかな、
やっぱり言わない方がよかったのかな。
なんて、
少し後悔している。
だから、
もうひとつの秘密だけは、
あの世まで(^^;)
後悔しないように、
口を閉じる。
