処方された薬を飲んでも微熱が続いていた



吐き気がひどく、眠れない。
眠気でもうろうとする中、また夢をみる。

ある日付けが頭に浮かんで離れない。

登場人物は、父 姉 私 そして見知らぬ男。


漠然とした嫌な思い。




その日。



電話がなった。

娘が学校へ向かったばかりだった。

「急いでこい」
父からだ。


行くと、近所の人から聞いてかけつけた父と姉。

姉はズボンを引っ張りながら泣いている姉の娘に怒りながら何か言っていた。


姉の娘と私の娘は同じ登校班だ。


私は、険しい顔で立っている娘になにがあったのと話しかけた。

「△ちゃん、行っちゃだめって行ったのに行っちゃうから。班長に怒られるから迎えにいったの」

「そしたら△ちゃんが泣いてて、、」

幼い娘は、待たせると登校班の班長が怖いから、知らない人についていってしまった姉の娘を迎えにいったらしい。


そうしたら、知らない人は走って行ってしまい、姉の娘は泣いている。

そこに近所の人が通りかかり、泣いているからと実家に知らせた。


と、いうのが短い時間の中で起きたらしかった。



とにかく、何もなくて良かった。

「よく、△ちゃんを迎えにいったね。

△ちゃんも何もなくて良かったね。」と娘を抱き締めた。



姉が世話になった人に礼がしたいから付き合ってという。

「もちろん、いいよ」と、一緒にいった私に、


「あんたがいないと、やられたのがうちの娘だってわかっちゃうから。二人で行けば、どっちがやられたかわかんないもんね。泣いてるのは見ても現場みた訳じゃないから」


と、言った。




姉よ。

いいよ。

気持ちはわからなくもない。


だが、

あなたの娘はやられてない。

未遂だろ。

そんな言い方しちゃだめだよ。

そして、未遂で終わったのは私の娘が勇気を出して迎えに行ったからだろ。

一番礼を言わないとならないのは、私の娘にだろ。



父をみて、、、

言うのを止めた。


姉が礼をした相手は、近所の人と班長にだった、、、。



その後しばらくの間、私は登校班と落ち合う所まで一緒に歩いた。

誘っても姉夫婦が来ることはなかった。




姉の娘。

この出来事は、たぶん忘れている。

思い出す必要もない。 

私も決して話題にしない。


住む場所は離れたけれど、

大人になった今でもいとこ同士、仲がいい。

私を信頼し頼ってもくれる。





だが、

自分の家へは決して帰らない。


もしかしたら、あの時点で信頼という見えない糸がすでに切れてしまったのではないかと、ふと思う。