こんにちは

鳥取で創業91年を迎える薬局で漢方相談専門の薬局で国際中医専門員の乾 康彦です。

今月の「こころとからだに優しい食事と漢方」は連休を前に春になると「なんとなくすっきりしない。」

とか

「そろそろ五月病かな?」

という皆さんに、春の食養生についてお伝えします。

中医学では、おくすりを使って難しい病気を治すお医者さんより、食事で病気を未然に防ぐ

お医者さんを「食医」として位が高いと考ます。もし、このブログが家族の健康を考える立場にある皆様が、大切なご家族の「食医」として日々の食事を中医学から考えるお役にたてれば幸いです。

 

 

*健康を支える五つの味

 

まずはじめに、中医学では食材を以下

酸(サン、すっぱい味)

苦(ク、苦い味)

甘(カン、あまい味)

辛(シン、からい味)

鹹(ジン、しおからい味)

の5つの味にわけて考えます。それぞれの味が持つ性質を簡単に説明すると

酸味は

肝(肝臓)に働きかけ、身体を引き締めて、汗や尿など漏れを防いでくれます。
 

苦味は

心(心臓)に働きかけ、身体の余分な熱を抑える性質があります。甘味は

 

甘味は

消化器の脾胃に働きかけ、身体を弛緩させて緊張をほぐしてくれる性質を持ちます。
 

辛味は

肺に働き、発散させる性質があるので、寒さて身体が冷えた時など身体をあたためて発散させましょう。

 

塩辛いという意味の鹹は

腎(腎臓)にはたらきかけ、物を柔らかくしてくれる働きがあり腫れものや腫瘍などを柔らかく散らしてくれます。(軟堅散腫)

 

 

*春は「肝」の季節酸味を少し

ところで、4月も。穀物にとって恵みの雨が降りはじめる「穀雨」を過ぎると、私たちの身体のなかでも伸び行く木々の枝のように、冬の間ねむっていた「肝」が目をさまします。

「肝」は情志を司るため、「五月病」に代表されるような精神的に不安定な状態が現れるかもしれません。

 

酢の物や

梅干しや

かんきつ類

 

など酸味のものは、肝に働きかけ自律神経を整えてストレスを和らげてくれるでしょう。

また、

かんきつ類、

ジャスミン茶、

ミント

などの食材はその強い香が直接脳に働きかけイライラを抑えてくれます。イライラしはじめたらジャスミンやミントなど香りの強いお茶や入浴剤、アロマオイルなどで症状が軽いうちに気分を晴らしましょう。ストレスが溜まって「肝」を傷めると、

・いらいつきが激しく朝からイライラムカムカ当たったり

・胸や脇腹が張って痛んだり、

などの症状が現れます。

「イライラ」と「張り」

は肝が傷んできた大切な「からだからのサイン」です。

こんな症状が激しい時には、「肝」を補いハッカなどで気の巡りを助ける「逍遥丸(ショウヨウガン)」など漢方のお薬の助けを借りて「張り」や「イライラ」を鎮めるのも一手です。

春に多い、「五月病」「イライラ」「張ったような痛み」は「酸味」と「香」が大切なキーワードです。

 

そして、夏も近づく八十八夜を過ぎ「端午の節句」には「立夏」を迎えます。このころには、夏に向けて「心」を鎮める

苦瓜、

ふきのとう、

タラの芽、

セロリ、

緑茶

などで身体にこもる不要な熱を鎮めて「心」を暑さから守ると「熱中症」の予防になります。ただ、ふきのとう、タラの芽、そら豆などは食べ過ぎると日光を吸収しやすく日に焼けしやすくなります。欲張らず焦らす、毎日少しづつコツコツ摂取しましょう。

「酸味」の食材「苦味の食材」とも食卓でみかけることが少なくなりましたが、ひとりひとりの体質、気候の変化に合わせて日々コツコツと召し上がってください。

 

*まとめ

 

今日は、中医学の五味と合わせて春に多い「情緒不安」についてご紹介させていただきました。最後まで、お読みいただいた皆さまに感謝いたします。

今月のお話しが、少しでも読者の皆さまのお役にたって、皆さまと皆さまにとって大切な方々が、圧倒的に健やかで、心穏やかな日々を過ごせること、心から願っています。