私たちイヌイ薬局は、店頭で漢方相談や薬膳の講座を
行っています。
その、ご相談のなかから、今日は無月経からのご妊娠

のお話です。

*無月経の原因と薬膳と漢方

まだまだ若さがまぶしい29歳のYさんの悩みは、自力
では生理がいつまでたっても来ないこと。

結婚されてまだ間がないということもあって、当然のごとく
妊娠は希望されているのですが、特に急ぐわけではなく
それよりは
「自力で生理が来ないので女性ではない。」
のが悲しいと来局され、相談机での涙ながらの訴えになって
しまいました。

最初は、医療機関でのホルモン補充で生理周期をつくっていた
のですが、ホルモン剤の補充をやめるとピタリと生理がこなく
なってしまうことに疑問をいだいての来局でした。

基礎体温(BBT)やホルモンの検査から
血糖値が少し高く、男性ホルモンの値も高い
傾向にあったので

特に、代謝の異常によるホルモンの乱れと考え
お薬も、お食事も
1、身体に不要な、老廃物や不消化物は排泄し
2、身体に、特に生理に必要な血液を補う
ことを気をつけていただきました。

*妊活薬膳の基本は主食とスープ

食事は、主食とスープで大半が決まるので
特に配慮していただき

 

1、ご飯は玄米にして頂きたかったのですが
 ご主人がきらうので、できるだけ雑穀を
 多くまぜていただきました。

2、スープや汁ものは、必ず昆布を一晩浸した
  昆布出汁をつかっていただきました。
 
  昆布は、
  A、便のもとになる不溶性食物繊維と
  B、血糖の吸収をおだやかにする水溶性の
  食物線維がバランスよく含まれています。

漢方のお薬も
1、血行を改善して、体の中の不要なもをのを
排泄してくれる漢方薬と
2、ホルモンの減量となる血液を増やしてくれる
漢方のお薬も服用いただきました。

すると、2か月もしないうちに2kgくらい減量
出来たところで、自力で生理を迎えられ、若さも

手伝って間もなく妊娠されました。

 

今でも印象に残っている程、あっけないご妊娠の

後は、順調に安心安全な出産を迎えられました。




*妊活薬膳や漢方の良いところ

薬膳や漢方のお薬の良いところは
1一人ひとりの体質を見極め
2その体質にあった漢方のお薬や食事を選んであげること
で、自然で速やかに様々な心や身体の不調を解消すること
シンプルな2ステップで
健やかさを取り戻すことが出来ます。

*妊活薬膳と漢方は、まずご自身をみつめることから

まず、大切な方の顔も、声も、食欲もお身体も良く
見つめてあげることからはじめましょう。


 

 


48歳で妊娠49歳で出産されたT.M.さん


20年近く、毎年南京中医薬大学で周期療法(周期調節法)
の創案者「夏 桂成」先生の講義や実際の診察を拝見させて
いただいて研鑽続けた甲斐あって着床されました。


着床されて最初の一歩ということで、笑顔で祝福を
伝えながらも心の中はこれから始まる10月10日の
安全のお手伝いの為の緊張感でいつも胸がいっぱいに
なります。


つわりは赤ちゃんが母体の生命力を上回った分だけ
激しくなるとされているので新しい生命が元気な
証拠といえ、喜ばしいことでもありますが

予想通り、半世紀近い時を重ねた身体に、有り余る
新しい生命の力は容赦なく激しいつわりで彼女を
苦しめました。


母体が、体力を補う為なのか無性に肉類を欲しがる母体
でも、激しいつわりに一口も受け付けない時

食材のエッセンスを十二分に引き出したとろとろの
スープが、少し苦痛を和らげてくれたようで
薬膳の基本がスープやお粥であることの意味を改めて
充分認識しました。


うかつに励ましの言葉も口にできないほどの苦しみを
乗り越えて新しい生命と対峠できた時

ふたりの両親から頂くあふれる「感謝」と
私たちの伝えきれない「ねぎらいと祝福」と

この瞬間のために、これからも
難解な中医学の四文字熟語に負けることなく
弁証論治という解決策を考えて考え抜いて
学び続け、伝え続けたい。

 

つわりの薬膳と漢方理論については

 

参照下さい。
 

今日、2025年3月5日は二十四節気の啓蟄(けいちつ)
を迎えます。


*二十四節気の薬膳・・驚蟄

 今日は、春の3番目の節気「啓蟄(けいちつ)」です。
「蟄虫啓戸」
厳しい冬の間、大地の下で冬ごもりをしていた虫たちが土壌の温もりと共に
戸を啓いて地上に出て来る時期。

立春が過ぎると大気が不安定で雷が鳴りますが、この雷で虫たちが目覚める
ので、この時期の雷を「虫出しの雷」とも言われます。
です。

啓蟄の薬膳・・・肝気鬱滞(かんきうったい)と疎肝理気(そかんりき)

虫たちが目覚めると、草木の芽吹きもはじまり、いよいよ本格的に春らしい
気候になってきます。が、昔から「木の芽立ち」といい精神的に不安定に
なりやすい時期です。

三寒四温で気温が安定せず、気圧の変化も激しく、自律神経がバランスを
崩しやすくなり、特に日本では年度末や新年度で
卒業、進学、入学、クラス替え、転勤、人事移動
などの環境の変化が盛んな時期です。


こんな時期は、五臓のなかでもストレスをコントロールする
「肝」の養生
が大切になってきます。


五臓のなかでも、肝や胆はストレスに弱く
気の巡りが滞ると肝気が鬱結し「肝鬱気滞(かんうつきたい)」という
証(体質)になりそのまま放置したりひどくなると
「肝陽上亢」⇒「肝火上炎」⇒「肝風内動」
とすすみイライラや苛立ち、興奮などの症状が悪化して激しくなります。

このイライラを解消するには
疏肝理気(そかんりき)
といって肝の気の流れを良くします。


肝鬱気滞(かんうつきたい)の養生法…
 肝鬱気滞証は、さまざまな精神的ストレスにより気の巡りが滞って起こる
ので、出来るだけ早く気の巡りを調えることが大切です。

症状としてはイライラしやすかったり、胸やお腹が張ったり、フェースライン

の吹き出物など体側に症状が出やすくなります。


心地よい香りは、直接脳に働き替えて気分を転換してくれるので
まずは普段の食事に、香りの良い食材少し加えることで気の巡りを調える
食材を摂り入れましょう。
 

春菊やミョウガ、紫蘇、生姜、大葉、せり、三つ葉、セロリ、
よもぎ
など香りの良い香味野菜は気の巡りを調え行気解鬱の働きがあります。


ただ、香りのよい野菜や食材はは加熱しすぎると香りが飛んでしまうので、
調理の最後に加えるのがポイントです。

また柑橘類も気滞の改善に効果的です。
オレンジ、みかん、ゆず、レモン、かぼす、すだち、ライム、橙
グレープフルーツ、金柑、仏手柑、陳皮などの柑橘類は、
爽やかな香りと酸味で気分をリフレッシュさせ気の巡りを促進します。

柑橘類は、果実の香りを楽しんで召し上がったあと、皮はそのままお風呂で
入浴剤として再び香りをお楽しみください。気持ちを緩め、香りを楽しんで

いただくことで自律神経の乱れが整うとされています。

香りに加えて、入浴そのものも気の巡りを改善する良い機会です。

39℃~40℃くらいのぬるめのお湯でカラダの芯まで温めるイメージで

あれば、気血の巡りを促進しましょう。

あさり、シジミ、牡蠣などの貝類やレバーなどの食材も肝血を補います。これらは
栄養価が高く、体力の回復を助けると同時に、気の巡りを改善する効果があります。


キャベツ、ゴーヤ、梅干し、枸杞の実なども消化を助け
胃腸の働きを整える効果があります。

玉ねぎ、にんにく、らっきょう、エシャロット、ゆり根など
鱗茎の辛味野菜や紅花、サフランなどは

血の巡りを調える作用があり、気血同源とも言われていて気の巡りも調える効果が

あります。

その他には菊花、桑の実、なつめ、金針菜、ジャスミン(茉莉花)
スパイスでは草豆く(そうずく)・草果(カルダモン)、クミン
茴香(フェンネル)、コリアンダーシード、クローブ、肉桂、八角などが
おすすめです。

ただ、辛い物や刺激の強い食べ物は控えめにしましょう。これらは一時的に
気分を高揚させますが、長期的に食べ続けると気の巡りを乱します。

お酒の飲みすぎにも注意して、春は少酒多酒(しょうしゅたちゃ)といって
お酒は控えめに、お茶をたっぷり飲むことで冬の間に溜まった身体の中の老廃物
を排泄しておくと、身体の解毒工場でもある肝の負担を軽減することが出来ます。


*啓蟄の生活養生 

ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動は、全身の血の巡りを促進し
気の流れを良くします。特に春は、身体を縛っている物を振りほどいて
心身をリフレッシュさせる効果が高い特に自然の中で、春の訪れを感じながら
軽い散歩から始めるのがおすすめです。


ヨガや気功太極拳、ストレッチも肝鬱気滞証におすすめです。これらの運動は
カラダの柔軟性を高めるだけでなく、腹式呼吸など深い呼吸法を意識して頂く
ことでと、自律神経が整い気の巡りを調えてくれます。


生活習慣の面では、冬は早寝遅起きのリズムでしたが、春は早寝早起きを心がけ
自然界の陽気を身体の中に取り込んでゆきましょう。

夜更かしや睡眠不足は気の巡りを滞らせるので、ストレスを溜め込む原因と
なります。


デスクワークなどで長時間同じ姿勢でいることが多い方は、90分に1回は立ち
上がって軽くカラダを動かすなど、こまめに気分転換をすることが大切です。


驚蟄の時期は、自然界の気は陰気から陽気への大きな転換期です。

冬の間は陽気を無駄に発散しないように静かにひっそりと過ごすことが

おすすめでしたが、春は自然界に陽気が満ちて潜気発散する季節なので

徐々に活動的に、身体を縛っているものを緩めて陽気を浴びる散歩など

が大切です。



*驚蟄におすすめの薬膳素材・薬膳茶
 

1.ストレス解消(行気解鬱)におすすめ薬膳茶&薬膳的素材
 ストレス解消におすすめ薬膳茶は

 ジャスミン茶、金木犀のお茶、陳皮(蜜柑の皮)茶


薬膳的な素材としては、
枸杞の実、菊花、桑の実、金針菜、山査子、白きくらげ
はと麦、緑豆、紅花など。

2.肝を支える血を補う(養肝補血)におすすめ薬膳茶&薬膳的素材
 中医学では、肝は血を蔵すると考えられているので、良質で豊富な

血液を必要とします。血を補う薬膳茶として

 なんといってもなつめの薬膳茶、棗と枸杞のお茶、竜眼肉のお茶

 菊花と枸杞のお茶

などがおすすめです。
 

薬膳素材としては、

なつめ、竜眼肉、金針菜、蓮の実、黒きくらげ、茉莉花(ジャスミン)

マイカイ花、紅花など。