第64話 宗教戦争【前編】
ある日、当時、我が團の幹部と懇意していたかつてのヤクルトスワローズの名捕手 古田敦也似の他校應援團幹部が團室に尋ねて参りました。彼は神戸の自宅より結構、遠方の大学に通学しておりまして、夜は神戸三宮で一杯飲む事を趣味と致しておりましたが、同じ團に神戸方面在住の團員がおらず、飲みたいと思うと何故か我が團室を訪ねてくる習性があったのであります。
そこは物分かりの良さが我が團の特性でありましたので、古田幹部の来訪を受けると
「まいど。今日はこれか?それともこっちか?」
と指でサインを示すのが常でありました。ちなみにサインとは、「これ」の時はお猪口を人差し指と親指で持つ様な仕草、「こっち」は小指を立てる仕草、どう解釈するかは読者の皆様のご判断にお任せします。
いつもは古田幹部は計ったかの様に16時頃に
「近くに用事があってのぉ」
と言いながら入室してくるのが常でありましたが、今回は真昼間に登場したのであります。
「えらい早いやないか、、、」
と言おうとすると、古田の後に見慣れぬ顔が続いて入室してくるのが見えました。しかも團室の雰囲気にはそぐわない金髪碧眼の青年とレディの組み合わせでありまして、その場にいた團員は呆気にとられます。
古田が説明するところによりますと、彼の大学に留学に来ている米国の大学生との事でありまして、彼とはゼミが一緒との事で、應援團活動以外は暇を持て余し、且つ世話好きという彼がいつしか色々と案内している、との事でありました。
お客様が来られた以上は團室の幹部用の応接ブースに通さざるを得ませんので、他校應援團幹部古田君、他校留学生マイクとナンシー(以上、仮名)の3名をお通しし、とりあえずは用件を伺う事になったのであります。【以下次稿】
甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会広報委員会