第62話 裏地(前編)
学ランネタが続きましたので、関連するエピソードを綴りたいと思います。
学ランを誂える、この際、こだわりは各個人それぞれであります。とは言え制服というカテゴリに属するものなので、團の中で自分だけ目立つ異色の物を着る訳には参りません。よって團で規定されている枠組みの中で誂える事になります。
学ランを誂える、この際、こだわりは各個人それぞれであります。とは言え制服というカテゴリに属するものなので、團の中で自分だけ目立つ異色の物を着る訳には参りません。よって團で規定されている枠組みの中で誂える事になります。
こだわりの王道は生地でありましょう。ペラペラでポリエステルが大量に混入されているであろう格安が売りの物から、タキシードや礼服用の高級な生地まで様々であります。上級生にもなりますと、重厚な生地で作ってみたくなるものであります。
我が團は黒の制服でしたが、テーラーで黒い生地を幾つか並べますと、同じ黒でも濃淡がございます。そして多くの場合、より黒の色が濃いほど、値段も張る傾向にあった様に記憶致しております。
ある時など映画「最後の博徒」の主人公のモデルになった方が贔屓にしておられた大阪市内のテーラーで、親分がある法要の為に誂えたという礼服と同じ生地で学ランを仕立てた場合の見積を頂戴した事がございます。学割やら何やら値引き交渉をした結果、何と金75万円と書かれておりまして、即座に断念したのでありました。
後、目立つ個所で言えば裏地でしょうか。無地の生地に母校の校歌・応援歌の歌詞、校章等をデカデカと刺繍するオリジナルの裏地を使用する者もおりましたが、一般的には羽織の裏地や襦袢に使う絵が描かれたものを使用する者が多かった様に思います。
今は廃業なさっている様ですが、JR神戸駅と元町駅の間辺りに生地やボタンの問屋さんがございまして、そこに実に多種類の着物用の裏地が置いてありました。派手好みの関西人の趣向を刺激する様な物が多い反面、一点物が多く後日、店を覗いた時にはなかった、という事もままある訳であります。
オーソドックスな龍虎、唐獅子牡丹、鯉は幾つかのパターンのものがありましたし、浮世絵の美人画や果ては四十八手(相撲ではありません)といった純和風もなもの、髑髏、生首といったおどろおどろしい図柄、、、裏地選びだけで数時間、悩む者も居た程でした。【以下次稿】

オーソドックスな龍虎、唐獅子牡丹、鯉は幾つかのパターンのものがありましたし、浮世絵の美人画や果ては四十八手(相撲ではありません)といった純和風もなもの、髑髏、生首といったおどろおどろしい図柄、、、裏地選びだけで数時間、悩む者も居た程でした。【以下次稿】

甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会広報委員会