さて、そんな当時の近畿大学應援團の総帥であるT團長は神戸方面に自宅があった事から我が團の團員とは下級生時分から交流がありました。メジャーとは言えない我が團の乱舞祭等に見学に来られたりしておりましたが、こういう事情があった為であります。
ある時、T團長が同期の我が團の親衛隊隊長と歓談している際、我が團の團旗について質問をして来られました。勿論「お前のところの團旗のポールは鉄ではないのか」という内容であります。T團長は下級生時代、旗手を務めていた時期があり、旗手出身者として乱舞祭で見た我が團の團旗に尋常ではない興味を示された訳であります。そして鉄製だいう事が分かると「それはさぞ重いに違いない。一度、持たせてくれないか」と仰天する様な依頼をされるではありませんか。
團旗を預かる親衛隊隊長とは言え、その場で快諾という訳には参りません。話を持ち帰り当時の團長を始めとする我が團の最高幹部と協議と相成りました。当時のT團長との交流は極めて篤かった事、また純粋に旗手出身者として腕試ししてみたいという熱意を汲んで、旗を付けずにポールだけなら、という条件でT團長に我が校にお越し頂きました。
かくして我が團の大團旗のポールを近畿大学應援團團長が持つ、という世にも奇妙な場面が発生した訳であります。ベルトを装着し、腰を沈めポールを持ち上げるT團長。さすが名門 近畿大学應援團で旗手を務められた事もある当代きっての豪傑、一発でポールを持ち上げ、45度に傾けたり、團旗礼の態勢を取ったりと一通り感触を確かめられました。
T團長はポールを降ろしベルトは外すと我が團の親衛隊隊長に向かって「お前、いつもこんな重いものを持っとったんか」と感心しておられました。余程、感銘を受けたのか、その後、様々な場でT團長が「甲南の團旗は重たいぞ」とコメントされた結果、我が團の團旗の物理的な重量に関する伝聞が尾鰭を付けて広まっていった様であります。
【團旗ポールのみを持つ練習風景】
甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会広報委員会