本山村怪々奇團【55】 | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

第55話 籠城【後編】

 

そんなある日、團室で安岡隊長の御無体な指令に基づき團務に追われる火野と平泉。ちょいと休憩とばかりに共にトイレに向かいます。團室から最寄りのトイレは隠れスポットでほぼ應援團員しか使用しないトイレなのですが、大便器×1、小便器×1しかない3畳程度の狭い小屋であります。
トイレに入るや、日頃の愚痴をこぼし合う両名。憤懣やるかたない火野が
「全く安岡のオッサン、偉そうにしやがって。××しやがったくせに!」
と例の過去の安岡隊長の大失態を論い、果てに親衛隊隊長の任に相応しくないと断じたところで、両名は連れ立ってトイレ小屋を後に致しました。
 
すると無人になった筈のトイレの大便器がある個室のドアが静かに開き、やや肩を落とした安岡隊長が出て来たのであります。
何と二人が入った来た時には既に安岡は個室で用を足しており、ちょっと驚かしてやろうとばかりに静かに部下の会話に耳を澄ましていたところ「すっかりみんな忘れている」と(安岡だけ)思っていた失敗談を根拠に自分への批判が集中している事実に愕然としていた訳であります。

ある意味、安岡隊長の目論見は当たった訳でありますが、ここで一喝すれば、己の触れたくない過去に触れざるを得なくなる訳でありますので、さしもの豪傑 安岡も事なかれ主義に走った次第でございます。
 
しかしながらこの舞台となったトイレ、かなり古い構造物でありまして、昭和初期の日本人の平均的な体格を想定して作られた代物であります。
大の方の個室は狭くドアも背が低く、優に六尺を超す巨体を誇る安岡隊長が直立すれば頭は出てしまう代物。さりとて便器も古式ゆかしい和式でありますので、ずっとしゃがんだままという訳にも参りません。
例の3回生達、恨みが深いほど愚痴は長くなるものであります。その間、安岡隊長は狭い個室内であの巨体をどんな態勢で保っていたのでありましょうか?
 
甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会広報委員会