第49話 起て!甲南の怪男児【中編】
卒業生は式当日は、卒業証書や卒業アルバムを受領したり祝賀会に参加したり、所属していたゼミへ挨拶に行ったり、と結構、色々と動くものでありますので、行方不明の前團長を捜索すべく、團員達はそれらの場所を片っ端から見に行きますが、逆にゼミの教授から「あいつは来とらんのか?」と問われる始末。
こうなりますと、実は卒業出来てないのではないかという疑惑、或いは事故という可能性も否定できん、と様々な憶測が團室に飛び交います。携帯電話もない時代、斯様な事態になりますと意外と打つ手が限られてくる訳であります。
行事ともなればピリピリした空気になりがちなのが應援團社会でありますが、卒業式は比較的、和やかなムードである事が多いのであります。しかしこの年はそんなムードはどこへやら、行方不明前團長の事で重い空気になっておりました。
すると夕方、そろそろ下級生は追い出しコンパ会場へ準備の為に向かう時間に、ひょっこり前團長が登場します。心なしか頬はこけ、全身から疲労感を漂わせております。同期の前幹部からは、今までどうしていたのかいう当然の疑問が投げかけられますが、
「まあ、色々とあってなあ、、、」
と曖昧な答弁を繰り返すだけであります。
その後、酒席と相成りアルコールの摂取量に比例し前團長の弁舌もかつてのものを取り戻して参りましたので、ここぞとばかりの今日の真相を問うと、驚愕の事実が判明したのであります。
甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会広報委員会