この口上がやはりプロの技でありまして、極めて難しいのであります。ただ声を出せば良いというのであれば、我々の得意分野でありますが、その時に店の前にいるお客さんの性別、年代などを瞬時に見極めその場に応じた口上を述べねばなりません。
まずはこういう場合にはこう言う、といった引き出しの多さと、目の前に広がる現場の様子からどの引き出しを開けるのかを咄嗟に判断する能力が必要な訳でありまして、且つ喋りが流暢でなければなりません。
しかし書いていけばお分かりの通り、これらの能力は應援團員にとっても極めて重要なスキルでありまして、テキヤのバイトで良い仕事をする者は応援会場でも活躍致します。
以上、縷々、四方山話を綴って参りましたが、このバイトに限らず個々の目的意識がしっかりしていれば、どんな環境にいても團員としての資質は上がります。テキヤの場合は團活動と類似した点が豊富で、團に戻れば即活かせる能力を磨く事が可能なのであります。ただの小遣い稼ぎで来た者とはかなり差がついてしまう訳です。すみなすものは心なりけり、といった次第なのであります。
過日、あるお祭で「おぉ、應援團の兄ィやおまへんか」と声をかけてきて下さったのが現役時代、バイト先のテキヤで一番の若手氏だったのでありますが、今では若い衆を抱える立派な個人事業主となっておりました。「また正月とか應援團の若い衆、貸してくれまへんか?」と有難い申し出があったのですが、実は今は現役團員がいない旨を話すと大層、残念そうな様子でございました。
團外活動とは言え、意識を持った團員には極めて有用な場であったと今でも思っております。
甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会広報員会