本山村怪々奇團【28】 | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

第28話 甲南アトム【前編】


バブル期という時代には世間に広く文字通りあぶく銭が乱舞しておりましたが、我が團も夜行性の者が多く、それなりにバブルの華やかでありながらもどこか退廃的な空気を嗅ぐ事が出来た様に思います。


そんなある日、ふとした事からちょっとした小遣い銭を得た幹部氏、今朝まではタバコ代すらどうするべきか悩んでいたにも関わらず、小遣い銭を手にするやタクシーで三宮に行きランチに洋食なんぞを食べ、支払いが滞っていた飲み屋のツケを振り込み、上機嫌で團室に登場しました。


するとあろう事か当時、交流があった関西の某有力校のA大学應援團の幹部が訪ねていたところでありました。その夜にその團とは兄弟分にあたるB大学の應援團の幹部と食事の約束があるからと同席を勧められたのであります。

社交的ではない我が團は当時、A大とは個人的にその幹部を通じ交流があったもののB大とは何の交流もありませんでしたので、即座に同意、一路、大阪のミナミを目指すのでありました。


極めて健全な居酒屋で、八代亜紀を見習って温燗と炙った烏賊で食事会は開始。得てして初対面の團同士というものは無用な意地を張り合う傾向にあります。側から見れば微笑ましいのでありましょうが、当の本人は極めて大真面目に母校の看板を背負う應援團員たる者、なめられてはいけない、と身構える訳であります。

もっとも大学側はこんな不健全且つ不適切な男に看板を背負わせたつもりはないのでありましょうが、当の本人は至って真面目にそう思っておりまして、何事も他校に後れを取ってなるものか、とB校の者が1杯、飲めば、こちら2杯、すると相手は負けじと3杯目に手を付け、と互いの酒量を誇り、挙句の果てには自校、自団の優位性を論う始末であります。


しかしB校は全国でも1、2を争う歴史を持っており、些か部が悪い感は否めません。日本最古ともいわれる団の歴史と共に、応援歌で使われがちな「鉄腕アトム」の主題歌を関西でいち早く取り入れた事が自慢の種でありまして、「長い伝統と共に時代を先取る先見性がウチの持ち味」なんぞと胸を張られると、その分野での勝目は乏しく切歯扼腕するばかりでありました。


甲南大學應援團OB会

八代目甲雄会広報委員会