本山村怪々奇團【25】 | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

第25話 大山鳴動(後編)


そんな訳で忽ち九公は團員のアイドル的存在になっておりました。しかし良い事ばかりではありません。ご存知の通り九官鳥のモノマネ能力は卓越しておりまして、「九子ちゃーん、お・は・よ♥️」と志賀勝風の凶暴な顔をした3回生團員そっくりな声で鳴き出したり、「◯◯のオッサンはどうもならんアホやで」「△△のオッサンは稀に見るケチや」などと先輩がいない團室で悪口を言いたい放題の下級生の井戸端会議の様子を鳴き出したりするのです。「何かの間違いであります!」とシラをきる事すら憚られる完璧なコピーぶりでしたので、九公の前では迂闊な事が言えなくなるのでありました。


また團室で下級生が團務に励んでおりますと「おい!1回生!」との怒号が飛び、姿勢を正し「押忍!」と返事をしたものの、声の主の姿は見えず、九公のイタズラだと気付いたり、嫌な先輩の鼻歌のモノマネを延々と続けたりと弊害が多く、團員は「コラッ、九公!いらん事をバラしやがって!」と九官鳥に毒づく事も再々でありました。


まあこれなどは内輪の笑い話で済むのですが、大学の教職員の方やOBが團室に来られた時は困った事になります。

「ほぉ、應援團では鳥を飼ってるのかね?」

「押忍!小鳥の飼育を通じ自然を愛し、生きとし生けるものを愛でる心を覚醒せしめ、團員に幅広い人間性を具備させんが為…」と説明している端から「おーい、1回生、ビール買うて来い!」「リーチ、イッパーツ」などと九官鳥が團室の日常を宣い出します。團の面目なぞあったものではありません。


そんな抱腹絶倒と癒しを与えてくれておりました九官鳥も、飼い主の再三の返却要請に團を去る日が来ました。「ワシが自腹を切るから、本格的に九官鳥二代目を迎えて、飼育を始めようなやいか」と話の発端の幹部氏が能天気に提案したものの、幹部から1回生に至るまで全員一致で却下と相成りまして、團室は平穏を取り戻したのであります。


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八代目甲雄会広報委員会