優等生は「若」様(17) | 甲南大學應援團OB会のブログ「雲外蒼天」

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甲南大学応援団再建物語
~黄霧四塞すと雖も、上に蒼天なきに非ず~

さて、そんな二人でありましたが、勤勉氏はサッサと我が庭の様に三宮を歩き、團員氏はその後を追う展開となりました。物知り顔でこれまで勤勉氏を幾度となく三宮を連れ回したものでありますが、勤勉氏も三宮マスターだったのか、と今更ながら気付かされた團員氏でありました。

 

とある店に何のためらいもなく入る勤勉氏。無意味に三宮を踏破した気でいた團員氏も入店はもちろんのこと、存在すら知らぬ店であります。麗しき女性がピアノなんぞを奏でる中、奥まった個室へ通される2人組。

妙に勿体ぶった店員さんがドアをノックし開けて下さり、慇懃に中へと誘います。勝手知ったる我が家の様に店内をスイスイと歩く勤勉氏は何度も来店したであろう事は明らかでありまして、下町のモツ焼屋に慣れた團員氏は虚勢を張り大股で部屋に入ったところ

「あっ!」と声を上げます。アサヒ芸能で幾度となく拝見した勤勉氏の父君がそこに御鎮座なさっていたのでありました。

 

その彫の深い容貌を髭で覆い包んだ風貌は、下手なタレントより売れたお顔でありまして、アサヒ芸能愛読者である團員氏でなくとも、御尊顔を拝すれば、そのオーラに圧倒される事は間違いないでありましょう。

 

お店は高級ホテルのレストランブースにある様な俗に言う鉄板焼屋さんでありまして、お付の若い衆が差し出して下さったメニューには目を剥くような金額の見慣れぬ品目が羅列されておりました。ただこういう張りつめた緊張感の中で、泰然自若に構えている様に見える訓練は、應援團稼業で積んでおりますので、さすがの大親分も「さすがに胆が座っている」と仰います。

 

とは申せその日の大親分は週刊誌で見る眼光鋭い感じではなく、ただの勤勉氏の父親としての穏やかな雰囲気を漂わせておりました。しかしかくも高価なメニューが並ぶ中、何を頼んで良いものか、途方に暮れる團員氏。こういう場合は目上の方がオーダーなさるのを待ち、それに合わせるのが妥当でありましょう。大親分がオーダーされるや否や

「自分も同じ物をお願いします」とすかさず同調。

「好きな物を頼んだらええんや。これじゃちっとも足らんやろう」

と御自身がオーダーされたヘレステーキ150gを3枚、持ってくる様、店員さんに指示されます。

 

緊張の一夜はまだまだ始まったばかりであります。

 

甲南大學應援團OB会

八代目甲雄会広報委員会