牧村團長はどちらかと言えば、親衛隊向きのゴツい感じがする團員でありましたが、所属はリーダー部でありまして、3回生ながらリーダー部長に任命されております。
【3回生のリーダー部長時代の乱れ八拍子】
リーダーの手腕もさる事ながら、牧村團長の真髄は後継者の育成にあると言えましょう。1代下の20代目は4名、21代目は3名、22代目は8名と、自身が十九代目を継承する際には15名を超える團員を擁するに至っておりました。20代目以降の團員は元気者揃いで、かつての活気を取り戻しつつありました。牧村イズムの継承者達と呼べましょう。
牧村團長の凄みは、應援團に対し鉄をも溶かす様な熱い情熱を持つ反面、自身の引き際は潔いところであります。4回生となり、8名の新人を得て、全てが軌道に乗ったと判断するや否や、任期満了を待たず、さっさと20代目へ跡目を禅譲したのでございます。
学生組織の宿命で、自らに与えられた時間は余りにも短く、口では「悔いはなし」と言いながらも、実際のところ悔いが全くない者などおりません。しかも幹部になって1年しか時間がない中、時間はいくらあっても足りず、自らの手で行けるところまで行きたいと思うのが常でありましょう。
確かに次代は復興途上で迎える20代目という節目の代であり、記念式典も予定しておりましたので、一日も早く20代目体制を固めておく事が望ましいという背景があったものの、なかなかできる事ではございません。
甲南大學應援團OB会
八代目甲雄会團史編纂委員会