さて、この数え歌、他の演目と異なる点は他にもございまして、一つは太鼓であります。他の演目は全て洋太鼓で演じられる事が多いのでありますが、タコ踊りだけは和太鼓と決まっております。昭和40年代には全ての演目が和太鼓によって行われるという時期もございましたが、その後は演目により使い分ける様になった次第であります。
【和太鼓による応援歌(昭和41年)】

他には演目の前に口上がある、という点もこの演目の特徴であります。舞台の上での肉声である上に独特の節回しですので、ご存知でない方には何を言っているのか分かり難いと思われますので、ご紹介させて頂きます。
【数え歌口上】
北 天つ吹く風に牡鹿啼く
山の頂 仰ぎ見て
長閑なりけり六甲の
南は淡路 島々の
浜の千鳥の通うなる
寄する小波の遠鼓
金波銀波の茅渟の海
それを控えし甲南の
名物中の名物は
一つ二つの歌拍子…
この前口上に続いて演目が始まる訳であります。ところがこの口上の伝承が誤って伝えられておりまして、変化している事に気付きました。ほぼ一緒なのでありますが、冒頭の部分が「北 松吹く~」となっておりました。教える方も教えられる方も「北松??そんな品種の松があるのか??」とか思いつつやっていたのでありましょう。全文を見れば北は後に出て来る「南は淡路…」の南と対比関係にあるのが分かりますので、「北、 松吹く風」と区切られる事は分かります。しかし他の部分が七五調で纏められているにも関わらず、この部分のみ九になりますし、第一「松吹く風」という表現は日本語的に変でありますので「おかしい」と気付く團員がいても良さそうなものでありますが…。
30代目以降の代目の皆様、数え歌の口上の冒頭部分は「北 天つ(あまつ)吹く風に」が正しい表現でございますので、頭の中の記憶の上書きをお願い申し上げます。
【数え歌】
八代目甲南大學應援團OB会広報委員会