Movie Memo 1 | 小森陽一オフィシャルブログ「一期一会」Powered by Ameba

Movie Memo 1

映画の感想書き、最近あんまりやってはいないかったが、意外なところで意外な人の役に立っているのを知った。なので、未見の人に差し障りのないよう、一口程度の私見をまとめてみようと思う。



『AWAY』 ギンツ・ジルヴァロディス/2019
この作品には一切のセリフがない。青年がバイクを見つけ、地図を手に入れ、飛べない小鳥と目的地に向かって旅をする。この世界には黒い影のような巨人がおり、執拗に青年の後をつけてくる。ロードムービーという体裁を取っているが、異世界モノのようでもあり、冒険モノのテイストもある。ただ、本当のところは分からない。昨今、津波のように情報過多のアニメが多い中、「Away」はほとんど何も与えてはくれない。観る者が感じ取り、想像しなければならない。
監督はラトビアのクリエイター、ギンツ・ジルヴァロディス。三年半の月日を費やして一人で作ったアニメーションである。ラトビアと聞いておそらく昔のソ連だろうとは思うが、どこにあるのか検索しないとピンと来ない。そもそもどんな言葉、文化、観光地など想像がつかない。そんな国から一人で作ったアニメーションが放たれた。それもまた驚異ではあるが、一番驚かされたのはそれに「惹かれた」という事実である。



『ELEMENTAL』 ピクサー/2023
この上なくデイズニー+ピクサーらしい直球の作品。誰も傷つかず、最後はハッピーな気持ちになれる。よくあるタイプの話だが、それでも退屈させずにしっかり魅せ切れるのは本当に素晴らしい。
風・木・水・火という四つのエレメントが一緒に暮らすエレメント・シティ。表向きなんとか仲良く共存は出来ているものの、やはり水と火の関係は危なっかしい。そりゃそうだ、この二つは天敵ともなり得る関係なのだから。そんな中、水のエレメントであるウエイドと火のエレメントであるエンバーが出会う。やがて二人は意識し合うようになり、互いを愛するようになって、ついには水と火の関係を打ち破って結ばれる。エレメントに種族を越えた愛となると「フィフス・エレメント」が思い浮かぶが、ベースはまぁ同じようなものである(笑)



『ゴジラ-1.0/C』 白組/2023
予告でモノクロバージョンと出会った瞬間、電気が走った。
(これは見とかなきゃ……)
カラーとはまったく違うオーラの正体、それは絶望感だった。色が単純化されればされるほど、他に気が回らなくなる。そこで起こっている出来事にのみ意識が向く。ゴジラという存在が放つどうしようもない絶望感が頭に、心にズンとのしかかってくる。
それはおそらく主人公やこの世界で生きている人々の意識にシンクロすることだ。まったく新しい作品を見ているかのような没入感だった。その証拠に仕事場に戻った後、
倒れ込むようにソファで眠ってしまった……。
 



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