ダモイの日 | 小森陽一オフィシャルブログ「一期一会」Powered by Ameba

ダモイの日

映画の話題が続く。

「アバター2」と前後するが、一週間前の9日、「ラーゲリより愛を込めて」という邦画を観た。なぜだろう。劇中映像を偶然テレビで見た時、「あ、これは行かなきゃ」と思ったのだ。ポスターにもなっているラーゲリ(収容所)へと移送中の貨車の中、ニノ(二宮和也)の姿と儚そうな笑顔が強く印象に残った(為かもしれない)。もしかすると、義父の書棚にあった本、「我が青春 初年兵一年の軌跡 俺のシベリア物語」を読んだからかもしれない。


日本映画には正直失望しているし、あまり観たいとも思わない。アニメまで含めればまだあるにはあるが、実写となるとなかなか腰が浮かない。そんな中で久し振りに感情が動かされた。友人であるプロデューサーのS氏には、「力強い日本映画を久し振りに観ました」とメールした。



実話がベースとなっている。やはり戦争を描く中でまったくのフィクションは軽くなる。“実話”という言葉がギリギリこの非現実を現実へと繋ぎとめてくれる。シベリア抑留という途轍もない異常な状況の中、如何にして人々は生き続け、堪え続けられたのか。山本幡男の目を通して淡々と綴られていく。




絶望の中に希望を見いだす。いつ、ダモイ(帰国)が実現するのか分からない状況の中で、山本は常に希望を忘れようとしない。それは自らが死する時までもだ。哀しくて哀しくてやり切れないだろうに、それでも友人に、家族に、希望を託す。これが選ばれた超人ではなく、ごく市井の人である事に激しく心を揺さぶられる。おそらくは当時、こんな日本人が沢山いたのだと思うから。

山本のダモイは病に蝕まれて叶わなかった。しかし、彼の遺書を四人の男達が分担して一字一句記憶し、帰国した後に家族に届ける。家族はその言葉をもらい、父の、息子の、夫の生きた証を手にする。なんというバトンなのだろう。本当に胸が震える。でも、これも山本だけでなく、おそらくは各地で行われていた現実なのだと思う。

それにしてもロシア(ソ連)は今も同じような事を続けている。あの国は本質的に何も変っていない。学んでもいない。そんなロシアが隣に広がっていることを忘れてはいけない。未来の為に、子や孫の為に。



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