大空の映画 | 小森陽一オフィシャルブログ「一期一会」Powered by Ameba

大空の映画

著名な編集者である岸川さんとお話しをした折、かつての東宝作品で大空を舞台にした映画の話題になった。それが『今日もわれ大空にあり』だ。航空自衛隊の全面協力で制作され、1964年度に封切られた。


若くて無鉄砲で怖いもの知らずの飛行隊の下に堅物の隊長が赴任する。言葉では埋まらない溝を態度と技量と行動で埋めていく。隊長の深い想いを知った時は別れの時だ。とまぁものすごくベタな展開だが、実にストレートで清々しい。空の青さがいろんなものを洗い流してくれる。

隊長役に三橋達也さん。若きパイロットの筆頭が佐藤允さんと夏木陽介さん。ヒロインは星百合子さん。藤田進さん、平田昭彦さん、田崎潤さんらが脇を固める。このメンバーが居並ぶ中、空をF-86がバンバン舞うわけだから、なんで怪獣が出ないのかと不思議になる(笑)



舞台となった浜松基地には何度も訪れた。「天神」の周辺取材だけでなく、F15に搭乗する為の減圧訓練もここで受けた。懐かしい。

懐かしいと言えば、映画の横軸はF-86からF104への機種変換である。僕が取材をしていた頃の主力はF-15とF-2。それが今やF-35に変わろうとしている。時の流れを感じる。しかし、パイロットの気質や努力、厳しさは今もこれからも変らない。


日本映画のスケールを存分に感じさせてくれる青春娯楽作だった。残念ながらこの勢いを今は失いつつあるように思う。その事をまざまざと思い知らされる。だけれども「天神」は映像化したい。なって欲しい。陸や速がスクリーンに生きる姿を見てみたい。心の底が熱くなった。



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