鑑賞記 | 小森陽一オフィシャルブログ「一期一会」Powered by Ameba

鑑賞記

皆さん、映画観てますかぁ? 忙しいからと言い訳しているそのアナタ、僕と同じですねぇ。映画なんか観なくても、生きていけますもんね。……でもね、やっぱり映画がないと人生味気ない。たまには心のビタミン、補給しましょう。



『フューリー』 2014年公開
監督・脚本 デヴィッド・エアー 出演 ブラッド・ピット シャイア・ラブーフ 他
地上戦。しかも、戦車が物語のメインにドンと据わってる。近年、ほとんど見掛けないタイプの戦争映画。内容はリアルで重く、延々と緊張感を強いられる。個人的には戦闘シーンより、侵攻した街のドイツ人家庭に押し入ったくだりが印象に残った。あの、なんとも言えない張り詰めた感じ……。戦争の生々しさを伝える名シーンだったと思う。

『オール・ユー・ニード・イズ・キル』 2014年公開
監督 ダグ・リーマン 脚本 ダンテ・W・ハーパー 他 原作 桜坂 洋 
出演 トム・クルーズ エミリー・ブラント 他 
いまだにタイトルがキチンと覚えられない……。人に説明する時、「何度も何度も生き返る映画」で通してきた。そう、これは何度死んでも、その時の記憶を抱えたまま生き直す物語なのだ。そんなバカな設定……なんて思って観ていたのだが、どんどん物語に惹き込まれた。と同時に、結末が知りたくて仕方なくなった。トム・クルーズの近作の中では一押しの作品。

『GODZILLA』 2014年公開
監督 ギャレス・エドワーズ 脚本 マックス・ボレンスタイン 他 
出演 アーロン・テイラー=ジョンソン 渡辺 謙 他
エメリッヒ版と比較すると月とスッポンだ。圧倒的にこっちのGODZILLAが面白い。デカいし、ムートーと呼ばれる怪獣と格闘するし、口から放射熱線を吐くし。迫力は文句なく素晴らしい。でも、初代ゴジラと比べるとこちらも比較にならない。芹沢博士、あなたもだ。折角ならば、GODZILLAを葬るくらいの活躍を見せて欲しかった……。 

『ホビット 決戦のゆくえ』 2014年公開
監督 ピーター・ジャクソン 脚本 フラン・ウォルシュ 他
出演 イアン・マッケラン マーティン・フリーマン 他
ホビット三部作もここに完結。冒頭の邪竜スマウグとバルドの一騎打ちはとてつもなく見応えがあった。でも、残念ながらそのシーンは短い……。その後、ドワーフ、エルフ、人間、闇の軍団が入り乱れて延々と闘う。もちろん、迫力は申し分ない。でも……なんか味が薄く感じてしまった。闘いの要素に夢中になって、キャラを描くのが後手に回った感じが否めなかった。個人的には『ロード・オブ・ザ・リング』の方が好きだな。

『ドラキュラ ZERO』 2014年公開
監督 ゲイリー・ショア 脚本 マット・サザマ 他
出演 ルーク・エヴァンス サラ・ガドン
国を、民を、家族を守る為、ヴラドは敢えて闇の力に染まることを決意する。そういうテーマは大好きだ。圧倒的なオスマン帝国軍に対するドラキュラの攻防は見応えがある。でも、いかんせん物語が薄い……。時間も一時間半とやけに短く、消化不良に終わった感じ。テーマは良かっただけに、う~ん、残念……。

『ベイマックス』 2014年公開
監督 ドン・ホール クリス・ウィリアムズ 脚本 ジョーダン・ロバーツ 他
出演 スコット・アドシット 他
文句無しに好き。夢中になった。アメリカ映画の底力を感じる。それは、たとえ子供が観る作品であっても、人の死が扱われるということだ。主人公ヒロの大好きな兄、タダシの死。この悲劇的な現実を乗り越える様を、ファンタジーに包みながらみせていく。これは日本映画ではなかなかできない(何度もトライはしてるんだが……通らない)。最後に……ベイマックスはジャイアント・ロボだった。

『寄生獣』 2014年公開
監督 山崎 貴 脚本 古沢良太 山崎 貴 
出演 染谷将太 阿部サダヲ
原作は当時じっくりと読んだ方ではない。寄生生物の描写がキツく、それほど夢中にはならなかった。しかし、今回映画を観て、正直後悔した。もっとちゃんとテーマと向き合っていればよかったと……。
今回も染谷くんがいい。いつものように、演技をしてるのかしてないのか、あの独特の感じ全開だ。なのに前半と後半では立ち振る舞いから顔立ち、目付きまでが変化している。オーラを感じさせないオーラを身に纏っている稀有な役者さんだと思う。早く完結編が観たい。

『インターステラー』 2014年公開
監督・脚本 クリストファー・ノーラン 
出演 マシュー・マコノヒー アン・ハサウェイ 他
なんだろう、この感覚……。みるみる映画の中に引きずり込まれた……。夢中になったとか面白いとか、そんな単純で白々しい言葉じゃ言い表せない。とんでもなくスケールのデカイ物語なのにしっかりと感情移入できるのは、父と娘の絆に一本筋が通っているから。
こんなとてつもない作品がボコッと生まれてくる土壌がハリウッドにはある。底知れぬパワーを感じた。

『アメリカンスナイパー』 2015年公開
監督 クリント・イーストウッド 脚本 ジェイソン・ホール 原作 クリス・カイル 出演 ブラッドリー・クーパー シエナ・ミラー 他
冒頭から緊張した。戦場に投げ込まれたような感じだ。砂埃が目や口に入り込み、とても息苦しい。こんなところから生きて帰れるのかな……と思う。曲がりくねった道、瓦礫の向こう側、通りを歩いている人が子供まで含めて敵に見えてくる。
ちょうどイスラム国に日本人が人質として囚われた時期だから、余計にリアルで恐ろしくなる。イーストウッドはエンドロールで音楽を排した。亡くなったクリス・カイルへの鎮魂はもちろんだが、それ以上に戦争がどういうものなのか、自問自答する瞑想の時間を与えられたような気がした……。

『くちびるに歌を』 2015年公開
監督 三木孝浩 脚本 持地佑季子 他 原作 中田永一
出演 新垣結衣 他
アンジェラ・アキの歌、「手紙~拝啓 十五の君へ~」。どこか懐かしく、でも成長の兆しも感じられ、とてもいい歌だ。長崎の五島列島にある小さな中学校の合唱部でも、その歌は響いている。大事件は何も起こらない。代わりに、それぞれが悩みを抱え、傷つき、それを隠しながら生きている――。
ガッちゃんのツンとした芝居も良かったが、それ以上に子供達の方に惹かれた。特にサトルを演じた下田くん。目が綺麗だ。苦しい境遇の中、彼の健気な目に救われる事が沢山あった。

『ジヌよさらば』 2015年公開
監督・脚本 松尾スズキ 原作 いがらしみきお
出演 松田龍平 阿部サダヲ 他
観終わったあと、どうにもふわふわした。この作品をどうとらえていいのか、分からない。軽く混乱した感じだ。主人公はお金恐怖症に陥り、お金を使わずに生活する為、とある村へやって来る。そして、数々の失敗をする。そのテーマも出演陣をみても、笑える映画だと思うだろう。だが、違う。そんな簡単なもんじゃない。松尾さんが監督をする意味を、もっとちゃんと考えればよかった。一筋縄でいく筈がない。出演者はみんな際立っていた。中でも阿部さんだ。優しくて乱暴で、激昂すると殺意が剥き出しになる。あんな阿部さん、ちょっと記憶にない。新鮮だった。

まだまだ紹介したい作品、書き足りないことは山ほどありますが、この記事、ブログだけでなくFBにも載る。あまりにも長くなったのでこの辺で強制終了します。
ではまた次回!



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