線はその人を表す | 小森陽一オフィシャルブログ「一期一会」Powered by Ameba

線はその人を表す

「名は体を表す」というコトワザがある。名前は、そのモノやそのヒトの実体をよ~
く表しているという意味である。ところで、線もまたそんな気がする。特に、描くことを生業にしているヒトの線。細さ、太さ、振り回し方、滑らかな滑り方……。そこら中にそのヒトが如実に表れている、そんな気がする。

成田亨さん。ガラモン、カネゴン、バルタン、そしてウルトラマン。誰もが知っている怪獣やヒーローの姿をデザインされた。そんな成田さんの画、昔から特徴的だと感じていたのは手の表現だ。どれも「グー」のカタチに描かれている。先日、奥様のお話を聞いてハッとした。成田さんは子供の頃の火傷がきっかけで、手が不自由だったそうだ。本人がデザイン画を描く上で、どれくらい意識をされていたかは分からないが、僕の意識は不思議と「手」に向かっていた。知らず知らず、そこに強い拘りを感じていたのかもしれない。





横山宏さん。言わずとしれたマシーネンクリーガーやゾイドのデザイナーさんだ。最近、FBでやり取りをさせていただいている。まったく幸せな時代になったものだ(笑)アップされるご本人の写真や届けられるメールの文体は真っ直ぐ伸びやかで、どれも笑顔に溢れている。でも、線はこの通り緻密だ。とても繊細な側面をお持ちなんだと思う。メカももちろんカッコいいが、僕はササッとラフに描かれた画に、線に、たまらない魅力を感じている。



繊細といえばこちらの方もそうだ。同じくFBで知り合ったデザイナーの今村誠也さん。年賀状をいただいたのだが、その細かく、緻密な線に彩られた画に妻と娘が絶句した……。これは飾っておくべきだと主張してきた(笑) もちろんだ。今村さんはFBで写真も公開されている。鳥や花や自然物に向けられる視線がまた、とても繊細で美しい。実線もそうだが目線もまたその人を表すような気がする。



最後にこの人、藤堂裕。誰しもが「上手い」と口を揃えて言うマンガ家。線も自由自在、色使いもまた自由奔放。ハチャメチャと折り目正しさが絶妙に同居している彼だからこそ、この画が描ける。だから僕もまったく躊躇なしで物語をぶつけられる。今ならなんでも、どんな展開でも描いてくれるという信頼感がある。ちなみにこの画は、今月発売の最新16巻の表紙だ。宣伝をきっちりブチ込んでくる僕の文体もまた、僕のイヤらしい性根を表している……と思う(苦笑)





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