木漏れ日亭~つながりの広場~ -9ページ目

木漏れ日亭~つながりの広場~

まえむき心、あったか心、やさしさ心。

ぼくが伝えていきたいなあって思うことです。

繋がりあえたらうれしいです。
いいね!やコメント、フォローに読者登録、応援^^。
どうぞよろしくお付き合いください\(^o^)/!

 猛烈な痛み。

 全身に刺さった針を、無理やり一斉に抜いたみたいな。

 

 甲高く、断末魔のような叫び声をあげて、ぼくは意識を取り戻した。

 

 ぼくの最初の記憶。

 

 そう、それは、その猛烈な痛みだったんだ。

 

 

 後から聞いた話だと、緊急入院の2日目に、もう助からないかもとお医者様から宣告されたぼくの両親は、良くて植物状態、かなりの可能性で亡くなるだろうぼくのお葬式の準備を始めていたんだって。

 お父さんの会社の人がいろいろ動いてくれていて、動揺からか何も手につかないお父さんお母さんに代わって、お寺の手配にお通夜やお葬式の日取り、連絡の手はずとかもしてくれてたみたい。

 

 そんな最中の2日目。もうこれ以上は無理ってとこまで膨張していたぼくの脳が収縮に転じた。

 

 お医者様も奇跡だって言ってくれたそうで、あわててお葬式の手配を止めることになったって、だいぶ後になって聞かされたんだけれども、なんだかなあって思った。

 

 だってそうでしょ?
 ぼくがぼくでなくなって、ほんとかどうかも分からない中刷り直しを強要(その頃はそう思ってた)されて、ようやく納得というか、諦めに近い感情でぼくとして生きてくことを決めたのに。

 

 そこまで用意されてたぼくではないぼく。

 

 もしかしたら、いまのぼくではないぼくはほんとは死んじゃってるのに。ぼくではないぼくのお葬式はしないで済んだって喜ぶまわりの人たち。

 

 折り合いをつけて、たぶんお父さん、たぶんお母さん、たぶんお姉ちゃん。そう意識的に刷り込んだたぼくは、喜ぶみんなの顔が曇らないよう、ぼくだけが心の中で、ぼくのことを弔ったのを覚えてる。

 

 

 話がそれちゃった。そう、あのとてつもない痛みでぼくは覚醒した。

 

 その痛みは、体中に付けられた管を抜かれる痛みだったみたい。ほんとはそんなに痛くないよう、お医者様が気を付けてくれてたんだと思うけど、とにかくとっても痛かったことだけ覚えてる。

 

 そうして目を覚ましたぼくは、なにもかも忘れ(ほんとに忘れたのかは未だに判明が付かないが)、自分が誰なのか、周りの人たちは誰なのか、すべてがもやっとした霧の中にあるみたいな。思い出せ思い出せと迫る人たちが怖くて。でもなぜだか話す言葉は分かるし、文字も読めたし、考えることもできたから、ぼくはいいこになることにした。

 

 このひとはお父さん

 このひとはお母さん

 このひとはお姉ちゃん

 

 ぼくを演じるぼくの舞台が幕を開けた。

 11歳の誕生日の前の日。

 2歳上のお姉ちゃんと大喧嘩。

 

 見かねたお母さんが、ぼくを買い物に出かけさせた。

 

 お姉ちゃんとお母さんが読むマーガレットとリボン。ぼくが読むコロコロコミック。

 

 お母さんが、近くを走る救急車の音を聞いて家を飛び出した。

 はっきりと、ぼくだって分かったんだそうだ。

 

 家から近くの交差点で、ぼくはトラックにはねられて強く頭を打ち付け、意識不明の重体に陥った。すぐに病院に運ばれることになったけど、近所の病院では対応できなかったみたいで、だいぶ離れた日赤に緊急入院。

 

 左側頭部の亀裂骨折、脳挫傷、右半身の打撲、右ひざ裏の裂傷。これが僕が受けた外傷。当時まだあんまり多くはなかったMRIの診断も受けたそうだけど、症状は良くなかった。脳のダメージが大きくて、頭蓋内で脳の膨張が止まらず。このままいけば、明日は越せないでしょうと、お医者さんが告げたのが誕生日の早朝のこと。

 

 お父さんは会社の人たちと、ぼくのお葬式の準備をしに行った。

 お母さんはお姉ちゃんとずっと付き添ってくれていた。

 そのお姉ちゃんは、とても後悔していたんだそう。

 

 すべて、ぼくが意識を取り戻した後に聞いたこと。

 

 顔も声も姿かたちもなにもかも、誰なのかも知らない分からない、そんな女性と女の子から聞かされた話だった。

もういちどだけ

もういちどだけ

やりなおすことができたのなら

ぼくはかわれるんだろうか

かわっていたんだろうか

 

めにみえるものすべてが

かがやいてるなんてことはなくて

やることなすことすべてが

なんのもんだいもなくおえられる

そんなはずもないってわかりきってる

 

それでもまいにちあさおきて

それでもまいにちよるにねて

 

あたりまえのようにひびにかんしゃすることもなく

あたりまえのようにつらさかなしさにいきどおって

 

どんなにか

どんなにか

 

ああこんなんじゃない

こんなはずじゃないって

 

じぶんをひていして

じぶんのことがきらいで

きみがうらやましくって

まわりじゅうすべててきで

 

もういちどだけ

もういちどだけ

やりなおすことができたのなら

ぼくはかわれるんだろうか

かわっていたんだろうか

 

いまみえるものすべてがほんもので

いまかんじてるものずべてがりある

 

だれがそういった

なにがそうきめた

 

しゅかんとげんじつのはざまにいちする

あいまいさとふかくじつせい

 

そうたいてきにひかくけんとうされたでーた

みちびきだされるかいはおうごんひりつ

 

なんもかもがただしくてまちがいで

なんもかもがげんじつできょこうで

 

それでもいたみやくるしみは

どうしようもなくほんもので

それでもながれるなみだは

まぎれもなくほんもので

 

どうせここにいるいま

いみがないのならば

どうせここにあるいみ

いまをみいだせないのならば

 

せめてやさしくありたいとおもう

せめてながすなみだのいみをしる

 

さしのべられるものはてのあったかさでいい

とどけられるものはほんもののえがおでいい