病院に行くと、あらかじめメールで連絡をとりあってたのでエレベーターの前でSくんが待っていた。


私たちが着いたのは7時ごろだったので、彼に「食事は?」と聞くと「もう済んだ」とのことでした。


普通に歩いてるし、意外にも痩せてないし、病名から連想する状況よりは良かったのでホッとして。




この前会ったのは…少なくとも7-8年前だよね~…なんて言いながら、お互いの近況報告。


そして、Sくんが病気のことを話し始め…。


「最初は2010年やってんけどな」


そう語り始めました。



肺がんが見つかったのがこのときで、手術を受け その後定期的に検診は受けてたそうです。


今年になり台湾旅行に行っていたときに、急に意識不明になって倒れたそうで。


倒れる直前、「自分では普通に話してるのに、嫁さんに"何言うてるんか いっこもわからへん"って言われてなぁ」と。


そして意識消失し倒れて、台湾では検査を受けずにそのまま帰国し、かかりつけの病院でMRIを撮ったら「脳腫瘍」だった、と…。


多分転移でしょうと言われたとのことで、それに対しては ガンマナイフと言う治療を受けたそうです。




そして、その後も検診を受けてきていたのだけど、このたびまた肺にあやしい影ができてると言われた、とのことでした。



もともと2010年にがんが見つかったときに、「ステージⅣ」と言われたそうで、肺がんはステージⅣが一番重いとのことで、抗がん剤治療も過去にはしたそうです。


今回は内服による抗がん剤治療で、今のところ副作用はないけれど、もしも出た場合、重症副作用となる恐れがあるため、一か月くらいは様子を見ながら入院している…とのこと。




「末期がんやねん。そろそろ俺も会いたい人には会っとかなあかんなーと思って」




そんな風に言いました。






私たちはほぼ同年齢。


私は上の子が今年から社会人になり、毎日を結構悲壮な感じで仕事してる姿を見守ってて下の子は学生。


Hは結婚が遅かったので子供は一人でまだ小学2年生。


Yくんは、上の子が結婚し(私の上の子と同い年だけど)、もう孫が2歳!!


そして、がんを患ってるSくんは、一番上の子の高2を筆頭に 4人も子供がいるとのこと。




「今は全然元気やけどな~、もしかしたら急にガクンと来るかも知れへん」




時々言葉を失いそうになりながら、でも私たちは向き合って、Sくんのその言葉を受け止めた・・・。



過去には、Hは父親が53歳でがんで亡くなり、Yくんも67歳で父親が、やはりがんで亡くなった…と言ってたから、その病気に対しては真正面から向き合った経験があったんだ…。




仕事が終わってからの面会だったので、1時間ほどで面会終了時間になりました。


「また退院したら、ご飯行こう」そんな風に約束して久しぶりの再会は終了し…。





帰りに3人で、「思ったより元気そうでよかった」と話しながら帰りましたが。


誰も口にしなかったけど、心から私たち、彼の回復を祈ってた。


神様、お願いだからまだ彼を奪わないで…





ずっと連絡をとらなくても、どこかで元気にやってる…って思ってるから、いつかまた会えるって思ってるから、ついつい時の流れにまかせてしまってたけど。


それぞれに「生」「老い」「死」などを考えて準備する時期に来たんだな…そんなことを改めて思いました。