ここに記載されているのは、まだ日本中が残暑に辟易していた頃の出来事である。
まぁ有り体に言えばブログの更新をサボりまくっていたのだが、是非半袖を着ている気分でお読みいただきたい。
その方が私が体験したひっ迫感がお分かりになるだろう。
遡ること10月6日
ここにきて残暑もひと段落、最近漸く過ごしやすくなってきた。
今年のマイ登山シーズンももうそろそろ終了か・・・という訳で、今期ラスト※となる登山へ行ってきた。
※ ヘナチョコ登山者の私は、少しでも命の危険がある冬山(雪山)登山には絶対に手を出さないようにしている。
問題はどこに行くか、だ。
その日の宿は既に長野県の有名温泉地・野沢温泉で抑えてあるため、そこから余り遠い場所はキツい。
且つ、当日登山向きの天気良好のところは・・・という選択肢の元、1週間前から天気予報とにらめっこし3か所ほどに絞った候補地の中から白羽の矢を当てたのが北八ヶ岳の北横岳である。
前日の夜まで、迷いに迷った結果の選択である。
というのも、私が登山時にいつも参考にしている天気予報サイト「てんきとくらす」によれば、当日の北横岳の登山指数はA、B、Cの3段階のうち最悪な「C」判定。
こりゃダメか・・・でも麓の茅野市の天気予報は快晴で「てんきとくらす」がC判定をかます理由が良くわからない。
と、諦めきれずに検索した日本気象協会の「tenki.jp」の予報サイトでは登山指数「90 登山に向いてます」。
一体何を信じりゃいいのさっ!!となった時、人は自分に都合の良い方の情報を信じるものである。
ということで、ちょっとビビり気味の自分を叱咤激励しつつ朝の5時半、日の出前には麓の「北八ヶ岳ロープウェイ山麓駅」に乗り込んだ。
ここから標高2,480mの北横岳山頂までは、その名のとおりロープウェイの活用が可能である。
が、ロープウェイの始発時間は8:40。
登山は早朝が基本、そんなに待ってられるかい!!と気が短い私は、ロープウェイでの時短を断念しその区間は徒歩で登ることにしたのだ。
早朝のロープウェイ乗り場。
ニワトリすら目覚めていない日の出前、当然のことながら人影は殆どない。
そんなことは気にするな、ワカチコワカチコ!とすぐ脇の登山口から登山開始だ。
登り始めは曇っていた空も、ところどころ朝日が指して来た。
よ~~し、いい感じだぞ!
登山道もきちんと整備されていて、1本道で迷う心配もないし、登山道両脇の木々も白くてきれいだし・・・ん?白い??なんで??
よくよく目を凝らしてみると・・・これって凍ってんじゃないの!?
「てんきとくらす」のC判定の理由は、天候よりも気温だったのだ!
まぁ寒く(場合によっては氷点下に)なることはあらかじめ想定していたので、自分なりに考えられるフル装備(今季初のババシャツにタートルネック、ジャンパーは2枚重ね)で来たから今のところは寒くないけど。
登山道を登り始めて1時間強でロープウェイの終着点・山頂駅に到着した。
なかなか良いペースである。
この辺りは「坪庭」と言われる景勝地、ロープウェイで登ってきた観光客の目を楽しませる地なのだが
当然ご覧のとおりの貸し切り状態だ
ロープウェイが稼働すれば登山者も増えてきて人気の山なら狭い頂上が芋洗い状態となるので、とっとと目的地の北横岳山頂を目指そう。
山頂駅から北横岳山頂2,480mの高低差は250m程度。
登山経験者ならお分かりかと思うが、さほど厳しい山行ではない。
途中にある「北横岳ヒュッテ」が見えてきた。
今日は休業中のようだが人の気配がしており、窓から覗いた室内はいかにも温かそうだ。
きっと今頃ベーコンエッグなんて焼いちゃってんだろうなぁ・・・コッチの朝飯は冷えたおにぎり2つだけど。
ここで少し寄り道しよう。
ヒュッテのすぐ脇に七ツ池に下る道があるのだ。
池の周辺はちょうど紅葉シーズン。
一部の木が凍っているのが若干気になるが、ここまでは思ったよりも好天気、このままなら山頂の展望も期待できそうだ
こうしてロープウェイ乗り場から誰もいない登山道を黙々と登ること2時間半あまり。
最後の急登を登り切ったらぱぁっと視界が開けて・・・
寒い!!
メチャクチャ吹雪いてるやんけ!!!
登山道の途中は結構晴れていたのに、頂上(南陵)に着いた途端にものすんごい風が吹きまくっている!!
「てんきとくらす」の判定Cはこれだったのだ。
ご覧の通り決して天気は悪くないし、途中までは快適に登山できていたことを思えば気象予報協会の予報も間違いでは無く、結局両社の言っていることはどちらも正しかったという訳である。
真実はいつも一つ!とは限らないのだ。
などと名探偵を気取る気分になれないくらいの一面の銀世界。
中央に見えている小高い山が蓼科山
そんなおおげさな・・・久しぶりのブログでちょっと盛っちゃってんじゃないの?
と思っている不埒な輩にご覧いただこう。
この何の変哲もない1枚の写真。
これを撮るために、突風に煽られかじかんだ指でスマホのシャッターを押した結果がコチラ。
メチャクチャ連写しまくってるじゃないの!(←しかも下山して気が付いた)
今私の脳内ではT.M.Revolutionの往年の名曲「WHITE BREATH」が流れまくっている。
まぁ寒いのは「時代」じゃなくて今!now!そして山頂だけど
それでも冷静に辺りを見回してみると
樹氷だ・・・これってスキー場で「ゲレンデがとけるほど恋したい」とか聞きながら眺めるヤツじゃないの??
一生スキーはしないと誓った私には、死ぬまでお目に掛かれないものだと思っていた。
北横岳には南嶺と北嶺の2つの山頂がある。
コッチは南嶺。もしかしたら北嶺は少しはマシか?
んなワケねーーよなーーーコッチもバリバリ氷点下だよなぁ。
展望も悪く、本来なら見えるらしい日本アルプスの山々も雲の向こうに隠れてしまっている。
ただ風が強い分雲の流れも速く、タイミングが良ければ雲の合間から絶景が拝めそうだ。
南嶺に戻り山頂から数メートル離れた木陰で風が止むのを待ってみた。
待っている間もどんどん体温が奪われていく・・・手袋はしているのだが薄く、指の感覚がなくなってきた。
ウール素材の靴下も効果無し、足の指がしもやけになりそうである。
ここで遭難したら、私もあの木々のように氷漬けになるんだろうなぁ・・・と遠い目をしながらゲットしたシャッターチャンスがこれだ!!
・・・なんだかコレだけ見ると「天気が良い日にノホホンと登山してきました」的な写真で、
自分で見ていても腹が立ってくるんですけど
実際は突風に吹き飛ばされそうな恐怖の中、岩にへばりついてなんとか撮った命がけの写真なのだ。
私の人生最後の記録になったかもしれないものなので、有難がってご覧いただきたい。
こうして生命の危機を感じながらも、無事に坪庭まで降りてきた。
まだ少し時間があるので、この先の縞枯山まで足を延ばしてみるか。
途中にある山荘。軽食も取れるらしい。
さっきまでの北横岳の荒れっぷりとは全く異なり、雲は多いものの絶好の登山日和を醸し出している。
こちとら命を懸けて登山して来たというのに、全くノンキなものだ。
山荘の前のお地蔵さま。無事の下山に感謝!
縞枯山は北横岳ほど悪天候ではなかったものの、なかなかの急登だった。
この山の見どころは、山頂の少し先にある展望台。
大きな岩をよじ登って超えていくと
わっかんねーだろーなーーー・・・超絶断崖絶壁なんっすよ、ココ
しかも苦労して登った割には超曇天だし。
登山時間はさほどではなかったが色んな意味で疲れたので、帰りは素直にロープウェイを利用する。
山頂駅近くの坪庭では
ロープウェイで楽々登って来た観光客が平和に写真を撮りまくっていた。
ここから1時間先の山頂では西川貴教が「WHITE BREATH」を歌いまくっている、とは夢にも思っていないのであろう。
山頂駅テラスからの景色
死にそうなほど寒い思いをしたのだが、好物は外せない。
今だ体の芯まで冷え切っているにもかかわらず、名物の「こけももソフトクリーム」をいただいてから北八ヶ岳を後にした。
冷えた体を温めるため、これから野沢温泉村に向かうのだ!!!(To be こんてぃにゅー)