2020最初のKOMOGOMO展

はじまります。キラキラ

 

 

第30回KOMOGOMO展

02月15日(土)16日(日)(雨天決行)

10時〜17時

上野恩賜公園噴水前広場

テントでのコンサートは日曜日のみ12時から

 

 

 

 

では、本ブログの為に書き下ろして下さっている倉本幸弘氏のシリーズ

「上野の四季折々に 第三回目」とともに。NEW

第二回はこちら

 

 

 

上野の丘の四季折々に

 

第三回 「ごらん、もう春になるのね」

 

倉本幸弘

 

 東京の今年の冬はあたたかい。

雪は、一月のはじめに少し降っただけ、それも夜中に降って、朝にはやんでいましたから、ほとんどの人は気がつかなかった。

 でも、夜中や明け方は、空気が冷たく、とても寒い。風邪に気をつけなければと思いながら、いつものように、朝早く、この上野の丘を散歩していると、舗道を縁取っている石の隙間、他の草の間からわずかに顔をのぞかせた小さな植物の蕾を見かけました。葉は石や他の草の葉に隠れて見えません。背の高さは五センチほど、糸のように細い茎、全体は白く、花弁の先だけがわずかに薄紫色をした小さな蕾。「可憐」とか「健気」とかという言葉は、この蕾のためにあるのではないだろうかと思うほどの姿でした。立ち止まって見つめて、形や色を目にしっかりと覚えておいて、家に帰って調べたところ、「叡山スミレ」と呼ばれる植物だと分かりました。やはりスミレだった。ああ、あれは、きっとこのスミレだったのだと、森鷗外の「山椒大夫」の一節を思い出しました。

 

……丁度岩の面に朝日が一面に差している。安寿は畳(かさ)なり合った岩の、風化した間に根を卸して、小さい菫の咲いているのを見つけた。そしてそれを指さして厨子王に見せて云った、「ご覧、もう春になるのね。」……

 

 弟の厨子王を逃すために、死を決意した安寿に、自然が最後に見せてくれたこの世界の姿……安寿にとって、それは、「刹那に向かって、『止まれ、お前はいかにも美しいから』(森鷗外訳『ファウスト』より)と呼びたくなるようなスミレの花だった。

 

お昼頃、暖かくなって、もう一度、その蕾を見に行きました。すると、日差しを受け、茎はすっきりと伸び、花びらを広げていました。

天気予報では二月に入り、冷たく寒い風が吹く日があるのだそうです。でも、上野の丘の植物たちは、今年も春が来ることを確かに約束してくれています。

 

倉本幸弘氏プロフィール:

千駄木にある森鷗外記念館の仕事をされている森鷗外記念会常任理

文京区立森鴎外記念館HP :  https://moriogai-kinenkan.jp

 

 

 

上野公園でお会いできるのを楽しみにしています。音譜

 

 

KOMOGOMO展とは

東京藝術大学出身等の若手アーティスト達によるアートマーケット

次回うえの桜フェスタ2020 03/27(金)・28(土)・29(日)

場所:東京都上野恩賜公園

エントリーはこちらホームページよりご応募ください

 

 

KOMOGOMO展常設販売所 上野案内所

 

 

 

@KOMOGOMO_TEN

 

 

 

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