(Noriko Oginoさん 花器)

 

 

 

Noriko Ogino  荻野 雅之 

KOMOGOMO展インタビュー 

後編

 

 

Noriko Oginoさんプロフィール

東京芸術大学大学院工芸専攻鋳金修了

日常を彩る作品をイメージに合わせて、金属・ガラス・革・木など多用し、日々制作にいそしむ

 

荻野 雅之さんプロフィール

家具工房 木楽舎 代表(1985年より)

デザイン創作家具を制作・販売

木楽舎 つみ木研究所 ホームページhttp://www.kirakusha.jp

 

インタビュアー KOMOGOMO展活動委員会

がま口革屋やあちゃこ:東京芸術大学油画技法材料研究室出身

 

 

大変長らくお待たせしてしまいました。

インタビュー後編では、荻野 雅之さんのもう一つの顔、つみ木おじさんとしての活動から、Norikoさんの制作の背景など伺わせて頂きました。

では後編。参ります。

 

インタビュー前編はこちら

 

 

 

(つみ木おじさんのワークショップ)

 

 

コモ:荻野 雅之さんは、日本全国や海外でも、つみ木おじさんとしてワークショップもされていらっしゃいます。ぜひその活動内容をお教えください。

 

荻野 雅之:1996年、家族の提案で、家具制作の傍ら「つみ木」を考案。

「楽つみ木」としてブランド化し、制作販売を始めました。

同時に、販売するだけではなく、たくさんのつみ木を使って遊ぶワークショップも展開しました。

 

「20000個の楽つみ木で遊ぼう」という形で、保育園幼稚園はもちろん、小学校、特別支援学校、小児科の入院病棟など様々な教育現場や一般の図書館などに、たくさんのつみ木を持ち込み、活動を行っています。

北は北海道、南は沖縄まで全国津々浦々、ワークショップを展開しています。海外でも、ロンドンにも行きました。

 

 

 

(つみ木おじさんのワークショップ)

 

 

コモ:特に心に残っているワークショップは何ですか。

 

荻野 雅之:ろう学校での、さわってじっくり楽しむ「つみ木広場」は印象に残りました。

手で触りつつ、ゆっくりと積むうちに無言になっている空間があり、その世界が、生徒たちの心の内面を表しているようで感激しました。

 

コモ:なるほど。大変興味深いです。

この場で伝えたいことがありましたらぜひお願い致します。

 

 

ワークショップを重ねる

その想いとは?

 

 

 

 

荻野 雅之:なんでも手に入ってしまうように感じるこの社会ですが、実は本当に大切なものを見失っている気がします。

心と心のふれあいもその一つだと思います。

つみ木は、見ず知らずの他人同士が、その日出会って楽しく交流し、遊ぶ時間を作ります。その中で人との接し方を学ぶことができます。

 

また、つみ木は制作している途中で必ず崩れます。

その崩れた時に作っていた子供たちの心の中が、いろいろな気持ちで渦巻きます。

その気持ちを整理して折り合いをつけて、作品に向き合い完成させ気持ち良くなる。そんな時間を提供しています。

 

 

毎回、何かしら事件が起こり

その結果、こどもたちの表情が少し大人になっていく様子を見ることが私たちの活動の原動力になっています。

 

 

コモ:大変貴重なお話をありがとうございます。

こういう”感覚を通した” 特異な体験は、生涯忘れないものですね。

 

つみ木シャワーも、気になります。子供たちが心から喜んでいる風景がなんとも心を打ちます。

つみ木体験、子供だけでなく、もちろん大人の方にも体験して頂きたいものですね。

 

 

 

 

コモ荻野 雅之さんは先日、なんと教会の十字架からはじまり、家具一式を制作なさったそうですね。

写真だけでも、クリアな荘厳な空気が伝わってきます。

 

 

(荻野 雅之さん 横浜平塚カトリック教会の家具一式)

 

 

荻野 雅之:つみ木おじさんのもう一つのプロの仕事です。

横浜平塚カトリック教会の家具一式・十字架・祭壇・司祭用のイス・キャンドルスタンド・聖書用ブックシェルフ・その他を制作致しました。

 

献堂祭のとき、十字架の聖水をかけて入魂式感動しました。

信徒の皆様が涙しながら、お祈りをしておりました。

木と言う、物言わぬものたちが、形を整えると
人々の心にノックし始める

心してものづくりに励もうと覚悟した時でした。

そしてやがて小さな未完成の完成の世界

たかがつみ木されどつみ木の神聖な世界に繋がる。

 

 

コモ:尊敬いたします。荻野 雅之さんの家具も色々と拝見させて頂きたいものです。

 

 

 

 

コモ:さてさて、話は戻ります。

Norikoさんは、小さい頃はどんなお子さんでしたか?

 

荻野 雅之:好奇心旺盛ですが、めいいっぱい動くのか、電池が切れたようによく寝るかごちらかでした。仕事の都合で引っ越しを繰り返したので、環境が変わることが多く、それには苦労していた様子です。

 

Noriko:授業中はよく寝ていました。なんだかんだ絵を描くことは好きでした。

小さいときは、工房に落ちている木の小さな木端をボンドで板につけて、マイホームの模型を作って遊んでいました。

 

コモ:それは明らかに、今の「木のおうちシリーズ」など作品に現れていますね。

 

工房のあるご自宅は、山の中にあるのですか?

なんだかとても、空気が綺麗な所に住まわれている印象があります。

 

 

(KOMOGOMO展・リトルおじさん)

 

(KOMOGOMO展・木のおうち)

 

 

Noriko:八ヶ岳と富士山・南アルプスが見える甲府盆地の縁に工房を構えています。田んぼと畑と山々に囲まれていますが、夏は本当に暑く、冬は雪がほとんど降りません。

 

コモ:気分転換には、何をされていらっしゃいるのですか?

 

Noriko:北アルプスのふもとにある温泉に行ったり、八ヶ岳や富士山のふもとの高原にいったりと、山に出かけることが多いです。

 

 

(雪の中のスタッフ とび助さん)

 

 

コモ:(これは個人的に、 私が使っているヒノキの机についてお尋ねしたいです。)

生の木をテーブルにする場合は、 何を塗装として塗るのがオススメなのでしょうか。ホームセンターに行ってもよくわかりません。

昔、Norikoさんにオリーブオイルがいいと言われ、ごく薄く何度か塗り、オリーブオイルだけで10年越え、今はいい感じのアメ色です。

友達は、そのままシミになってしまっていました笑。という謎です。

 

Noriko:オリーブオイルの塗る量を間違えたか、木の状態がオイルを受け付けない状態だったか。木は生き物なので材料ひとつひとつに個性があり、それを見抜いて加工や塗装をします。ときどき私でも、うまくいかないことがあります。

 

コモ:なるほど。その個性を見抜くのは熟練の技ですね。

 

では、最後の質問になります。今後のコモゴモ展に求めるものとは。

 

Noriko:こういった活動は「続ける」事が本当に大変だと思います。

続けていく中で作家が成長し、作品も成長し、コモゴモ展自体の成長にもつながり、この活動が大きくなっていくと思います。頑張ってください。

 

 

( KOMOGOMO展での様子 )

 

 

コモ:ぜひとも一緒に頑張りましょう。

展示のお知らせなどあればぜひお願いします。

 

Noriko:10月14日、15日に山梨県清里で行われる「ポールラッシュ祭」に出展します。

八ヶ岳山麓の作家達の多くが作品を出展します。

地域の美味しい農産物や絶品の料理のブースもあります。ぜひ遊びに来てください。

 

ポールラッシュ祭」

http://www.keep.or.jp/place_event/countyfair/2017/

 

 

コモ:気になるイベントですね。とび助さんにも宜しくお伝えください。

インタビュー有難うございました。

 

 

 

(KOMOGOMO展にて 花器)

 

(Norikoさん 木のおうち)

(カッティングボードにお気に入りのパンを乗せて)

 

インタビュー前編はこちら

 

 

 

KOMOGOMO展とは。

東京藝術大学出身等の若手アーティスト達によるアートマーケットです。

NEW次回は上野公園がアートで満載「数寄フェス」と同時期の開催が決定。

次回開催:11月11(土)・12日(日)  

場所:東京都 上野恩賜公園