「きふね…という名前の
お名継ぎ様が少年の頃に
書いてた日記、ですね?」
僕が聞くと
美津子おばさんは
「キフネ様は
珍しいことに
生まれた瞬間に"名継ぎだ!"と
宣言されたと言われてる。
その時のせんじゅ様が
自らの第一子の誕生の直前に
直感を得て、その手で取り上げた
という記述が別の文書に残ってる。
そもそも先を見通すはずのせんじゅ様が
名継ぎの誕生を予言した試しはなくてな、
いつ、誰が名継ぎを産むかは
決して先読めないとされてるから
キフネ様はそれはもう
稀有な存在として
その成長は皆がとてつもない期待を持って
見守ることとなったようだわ。」
と、少し心辛そうに言いました。
「なるほどー。
それは確かにプレッシャーかかりそう
ですね。
早々に宣言しちゃったせんじゅ様の
ー失敗?」
「さあなあ。
せんじゅ様は絶対に失敗なぞしないはず
だけどなあ。
まあ、失敗の記録が
残ってないだけなのかもしれんけどなあ。
どうですかな?
じい様?」
美津子おばさんが
悪戯っぽくおじいちゃんに声をかけると
「そらそうだろうなあ。
せんじゅが誤ったとしても
物事いくらでも解釈のしようがあるものよ。
失敗でないよーに
皆でうまーく収めるかもせんなあ。」
おじいちゃんは咳き込むような
笑い声をあげて返しました。