「私のような名継ぎは昔にもいたようでなー

 日記を残されとる。

 誰に見せるつもりでもなかったろーが


 物心がついたかつかないかの頃から

 "お名継ぎ様"と呼ばれて

 なーもはっきりせん

 "先読み"の力があると言われて


 いかに不安な少年時代を

 過ごしておったか

 滔々と書いておられる。


 その日記ではな

 ひとりの人との出会いから

 それまでの悩みから抜け出てゆくのよ。」


おじいちゃんがそう言うと

美津子おばさんが頷きました。


「キフネ様とサホ様ですよな。

 不思議な話ですわな。


 おおかたじい様はキフネ様の真似をして

 ちょっとばかし気になった女性を

 すぐに島にいざなってきたんでしょうよ」


「まあそれもあったもんか…

 トヨがおれば先読みのなんたるかが

 わかる気はしたな」


僕はその日記を読みたくてたまらなくなりました。

おばさんの方を見ると

心得たように頷いて


「キフネ様の日記は

 書き起こしたものがあるよ。

 央雅も見るか?」