老齢犬 | 富士の裾野で想うVet

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地方獣医の徒然記

背中の腫瘍の老齢犬は、

その後のインターフェロン療法でも反応が薄く、

進行が抑えられない。


15歳を超える年齢だけに、

飼主さんも手術を選択しなかったが、

成長が止まらないので、

もう手術をせざるを得ないと決断するに到った。


元気食欲は良く、手術に耐えられるかもしれない。

血液検査は、春先のフィラリア検査の時にやっているが、

時間も経っているので再検査。


今飲んでいる薬を休薬して後、手術とした。

当日に静脈確保して点滴。

毛刈りは麻酔前に済ませ、

プロポフォールで静脈麻酔をして、

直ぐに挿管して気管確保。


術野を消毒して、心電計装着。

炭酸ガスレーザーと半導体レーザーを駆使して、

出来るだけ短時間に腫瘍切除。

皮膚縫合もステイプルで時間短縮。


これでも、大型犬で大きくなった腫瘍切除は、

それなりの時間は掛るだろう。


スタッフには、麻酔を掛けてからの、

モニター上の小さな変化も見逃さないように発破を掛け、

全員の集中を老犬に向けて、一気に切除。


後は、この老犬の生命力に掛け、

神様の御加護があるように祈るだけ。


いざとなったら、人知を超えた領域に頼む場合もあるのだ。