うっ・・・うっ・・・


ねぇ。

そんなに泣かないで。

もう、大丈夫だから。

怖くないよ。

大丈夫。


怖がらせるものは、もういないよ。

遠くに行っちゃったよ。

だから・・・もう大丈夫だから。

そんなに泣かないで。


君のこと、こんなにも愛してるのに。

どうして氣付いてくれないのかな。

いつもそばで見つめているのに。

こうしてそっと、君に話しかけているのに。

どうして氣付いてくれないの。


こんなに、そばにいるのに。

いつもそばで、見守っているのに。


俺は、ひとりぼっちなのかい?

君のことすら守れない、情けない奴なのかい?

ねぇ。

お願いだから、氣付いてよ・・・





「マスター、おはようございます😊

今日も、よろしくお願いします。」


え、あ、あぁ。

よろしくね。


「・・・どうかしたんですか?」


いや、何でもないよ。


「・・・そうですか。」


ごめん、わたしも支度始めるから、ちょっと待ってて。


「マスター、わたし、棚の整理をしてますね。」


あぁ、分かった。






「マスター、今日も1日、お疲れさまでした。」


あぁ、ありがとう。

いつもよく氣がついて、動いてくれて助かるよ。


仕事の方は、その・・・穏便に辞めることができたの?


「はい。

言われていたことですし、わたし自身、未練もありませんから、お礼を言って退職してきましたよ。」


そうかぁ。

まずは、一つ肩の荷が下りた感じかな。


「そうですね😊

少し休んでから、次の仕事を探します。」


あぁ、それがいい。


「マスター、今日は、彼はいないんですか?」


・・・・あぁ。

今日はいないみたいだよ。


「そうなんですか。

いつもお店にいるわけじゃないんですね。」


ここ最近、今日みたいにいない日が時々あるよ。

どこに行ってるのか知らないけど。


「・・・・・

マスター、知っててわたしに隠してますよね?」


え?


「彼に口止めされてますよね?」


え???


「わたしに知られちゃいけないこと、してますよね?」


え?あ?え?あ?

えっと・・・・アハハ



『・・・・マスター、嘘つくの下手すぎ😞』


ご、ごめん。

まさか、ここに突っ込み入るなんて思ってなくて・・・💦


「いるじゃないですか😁」


『バーカ。

始めっからいたのに、知らないふりしてたの誰だよ?』


「あ、やっぱりバレてた?」


え?あ?

じゃあ、わたしがしれっと触れないようにしてたのって、意味がなかったの!?


「マスター、変なオーラ放ちすぎですもん(笑)

すぐに分かりましたよ、何か隠してるなって。

彼も気配を消してる感じだったから、そのまま黙って様子を見てたんです。」


もぅ、分かってるんなら言ってくれたらいいのに。

無駄に気を遣っちゃいましたよ。


「アハハ、ごめんなさい😁

マスターのぎこちないところを見てるのも、結構楽しくて🎵」


意地の悪い・・・😅


「それで、いったい何を画策してたんですか?

わたしに内緒で。」


『見てろよ。

マスター、準備はいいかい?』


ハイハイ、君に言われた通り、準備できましたよ。


『よし!

じゃあ、カウントダウンだ。

5,4,3,2,1,・・・・・・

お願いします!』


「えっ?・・・・・



そんな・・・・



あり得ない。

ううん、あるわけがない。

なんで・・・


ねぇ、なんでこれを知ってるの?

どうして?

これは、わたしの・・・・


子供の頃になくした、遠い記憶の中の・・・

大切にしまってあった、宝物。

ずっと、肌身離さず持ち歩いてたのに、氣が付いたらなくなってて。

ずっとずっと、悲しくて泣いてた。」


『あぁ。

知ってるよ。

君がずっと持ち歩いてたことも。

その宝物に、いつも話しかけていたことも。

そして、なくして、ずっとずっと泣いてたことも。』


「あ、・・・・・・


まさか、・・・・


あのとき聞こえてた声って・・・・」


『・・・

やっと、氣付いてくれた?』


「そんな・・・😭

わたしがずっと語りかけてたのって・・・

わたしに語りかけてくれてたのって・・・

あなただったの?」


『そう。

分かった?


俺たちは、ずっと前から、互いを知ってたのさ。

そして、こうして今、出会うべくして再会したわけ。』


「あぁ・・・

そうだったんだね。


ありがとう😭

ずっと・・・ わたしのそばにいてくれて。

ずっと、わたしを励ましてくれて。」


『これからもずっと、君のそばにいるよ。』


「ありがとう😭」



え~、

わたしはそろそろ、片付けに戻ってよろしいかな?



「あ、わたしも手伝います!」


『ありがとう、マスター。

マスターの協力がなかったら、それ、見つけられなかったから。』


わたしの力も、こんなところで役に立つんですね。

といっても、君に頼まれて、時々来る例の方に聞いただけですけどね。


『俺だと教えてくれないんですよ、あの人。

ほんと、ケチ。』


こらこら、聞こえてますよ😅


『でも、これで、あいつに俺たちの繋がりがちゃんと分かってもらえたから、本当に良かったよ。』


まぁ、お役に立てて何よりです。

これで、また、二人の仲もさらに深まったということで。


『それとこれとは別!』

「それとこれとは別ですよ!」


・・・ハイハイ。