「・・・・分かりました。」

今まで、ありがとうございました。

・・・失礼いたします。」


ん?

どうかしたの?

暗い顔して。


「いえ、なんでも・・・・」


そう?

そうでもない顔してるけど。


「・・・仕事、首になりました。」


え?

今の、その電話?


「はい。

以前から、休みがちだって話はしてたと思うんですけど、さっき、店長から電話で、来月からはもう来なくていいよって。」


・・・・・

ねぇ、やっぱり、わたしのところに来る日数が多くなったから、そのせいで・・・

でしょ?


「それもあるんですけど、一番の理由じゃないです。」


そうなの?

じゃあ、他に何が・・・


「こちらに来る日数が増えるにしたがって、自分の中で大事にするものが変わっていったんです。」


へぇ。

どんなふうに?


「はじめは、ここでお話しさせてもらって、見えない存在とのつながり方を確かめたりとか、時々聞こえてくるメッセージをお客さんに伝えたりとかするだけで満足していました。


でも、日が経つにつれて、それだけじゃ満足できなくなってきた自分がいて。」


どういうこと?


「もっと知りたい、もっと聞きたいっていう思いがだんだんと強くなっていったんです。

お客さんについていらっしゃる方と話していると、"この人にはまだ言えないんだけどさ、君なら分かりそうだから話すよ"って、時々、メッセージとは違う話をしてくださる方がいるんです。」


へぇ、そうなんだ😲


「はい。

自分がどのようにしてそのお客さんと知り合ったかとか、今自分がいる世界がどんな世界かっていうこととか。

何て言ったらいいのかな、この世の仕組みみたいな、不思議な話です。」


なるほどね。

以前、時々いらっしゃる謎の存在の方から、それっぽい話を延々と聞かされたような氣がするなぁ。


「そうなんですね😊

それで、その話を聞いていくうちに、もっと知りたいって思いがだんだんと強くなって。

その方に聞きたくても、お客さんと一緒に帰ってしまうし、回数来ればいろいろな存在から話がもっと聞けるかな、とか思い始めて。

そんなことを考えたり、話を聞いていくうちに、今の仕事のことがあまり大切に思えなくなってきてしまって。」


せっかく試験受けて入社した会社でしょ?

お給料もそこそこいただけて、安定してるって話だったんじゃ・・・


「はい。

でも、マスター。

自分の氣持ちに嘘はつけませんよ。

どんなに世間では良いって言われてても、わたし自身が、もういいやって思ってしまったんですから。」


あ、・・・・・


うん。

そうだね。

うん。

分かる氣がするよ。


「😊

だから正直、今日向こうから電話をいただけて、むしろ良かったって思ってます。

まぁ、わたしの働きぶりもあまり良くなかったんでしょうし。


踏ん切りがつきました。」


君は、もう十分やったんだよ。

うん。

もう、十分。


「ありがとうございます😂


はぁ~、スッキリした🎵

さぁて、これからどうするか、考えなくちゃですね。」


・・・そうだね。

とりあえず、時間はたっぷりあるから、あわてずよく考えればいいよ。


「はい、そうします。



え?・・・・・・


そんなこと、・・・・


でも、それはマスターが・・・」


??

急にどうした?


「・・・

まさか!(笑)

それはないですよ。


・・・だといいですね。

分かりました。

聞いてみます。」


誰かと話してたの?


「あ、はい。

あの、ひとつ聞きたいことがあるのですが、いいですか?」


いいよ、何?


「マスターって、来週どこかに出掛ける予定があるんですか?」


ドキッΣ(; ゚Д゚) 

な、なんでそれを・・・

まだ誰にも話していないのに。


「あ、やっぱりそうなんですね。

予定を入れたけど、お店のある日だからどうしようか困ってる感じが伝わってきて。」


す、するどい・・・・

うん、今回はどうしても行かなきゃ行けないんだ。

でも、完璧に店の営業時間と被ってるから、申し込んだはいいけどどうしようって思ってた。


「わたし、その日店番しますよ。」


え、そんなことして大丈夫なの?

君、まだ仕事が・・・


「その日は、残り少ない有給を使いますよ。

あと、その日にわたし、この店でお会いしなきゃならない大切な方がいるみたいなので。」


へぇ、そうなんだ。


分かった。

こっちもそうしてもらえると予定をキャンセルしなくてもすむから助かるし。

朝の支度だけ済ませたら出掛けるから、悪いけど日中頼んでいいかな?


「分かりました😊


その予定、外せないですもんね😁」


ドキドキッΣ(; ゚Д゚)

この人・・・・・

磨きがかかってきたなぁ。


ありがとう、じゃあ、お願いするよ。


「はい😊」

『任せとけ😁』


あれ、今日は珍しくおとなしくしてたんだね。


『これは、俺の管轄外だから😁』


??

分かった、じゃあ、そういうことで。


あ、ヤバい・・・

おつまみ切らしてたんだった。


「わたし、買ってきますよ。」


悪い、頼むよ。

いつもの店ね。


「はい、じゃあ、行ってきます。」



『マスター、彼女にも隠し事できなくなりそうだね😁』


・・・・勘弁してよ。