WNBAが盛り上がりを見せているようです。今年のASのイベントで一番盛り上がったものの一つは、カリーとサブリナ・イオネスクによる3pチャレンジだったのではないでしょうか。3p対決の前には3pコンテストが行われ、そこでリラードが優勝したものの、サブリナはリラードの26pに並ぶ素晴らしいシュートを見せ、それをカリーが超えていくということで非常に見所があるイベントとなりました。
今年マーチマッドネスで非常に盛り上がりを見せました。それも男子の方ではなく、女子の方です。
盛り上がりを見せたのは、平均で30オーバーのスコアを叩き出したケイトリン・クラーク選手のおかげというところも多いでしょう。
クラークの所属するアイオワ大はクラークの最終年のホームで行われた全ての試合のチケットが完売し、アイオワ大学をホームに迎えた相手チームもクラークの影響で平均観客動員数が150%増加したようです。
マーチマッドネスでもその人気ぶりは凄まじく、決勝は1,890万人が視聴、19年以来プロアマ、男女を問わず全てのバスケで最も視聴者数が多かったとのことで、女子の決勝が男子の決勝を上回るという史上初の事態となりました。
それほどの選手ですから、もちろんドラフトではインディアナに1位指名され、WNBAでも素晴らしい活躍をしているというわけです。
このクラーク選手の特徴というのが、何と言っても女性版カリーとも言えるような3ですね。タフ3でも、ディープ3でも御構い無しに決め切ることができる圧倒的なオフェンス能力の高さです。
SNSでも試合の映像などが上がってきていますが、確かにNBA選手顔負けの3というのをバンバン決めて、みていて気持ちいいんですよね。
様々にスポーツがありますが、男性より女性の方が盛り上がりを見せるスポーツというのはそれほどに多くはありません。日本でもかつて女子野球のプロ球団を作りましたが、うまくいかず、結局なくなってしまいました。
どうしてもフィジカルの面で男性の方が優れていることが多く、速い球を投げる、速いパスを出す、豪快なダンクを決めるといった様々なプレーは男性の方が迫力があり、見ていて楽しめるからというのは一つあるかなと思います。
また、女子スポーツそのものがそもそもが後進的なところがあり、刺激的な服装でプレーをするなどという時代、ものもあるので、その辺り少し差別的な扱いがされがちというのもあるのかなと思います。
バスケにおいても、上述のダンクや迫力があるプレーという意味では、男性の方が上なのかなというのは確かかと思います。MINのアンソニー・エドワーズの象徴的なダンクはなかなかにできません。
バスケは比較的歴史の新しいスポーツの一つですが、最初の頃はインサイドが中心的でした。センターが花形でしたし、インサイドにボールを投げて決めるそれが効率的であり、基本だったからです。
そのため、インサイドで強烈なダンクを決めることができる選手などもまた、魅力的なスター選手だったわけですね。
それが、徐々に外へ外へと広がりを見せるようになり、3pというものが生まれるようになります。4pシュートを見たいな話もあるようですが、個人的にはそれはなくていいかなと思います。
3pも当初は、メインではなく、ここぞというところで決めてくれて盛り上がるという印象がありましたが、3pは1.5倍で点が入るので非常に効率が良く、3がより打たれるようになってきます。得点効率からすれば4割決めれば、インサイドで6割決めれる選手と同等になり、また後方からの攻撃になるので、その後カウンターなどへの対応もしやすいところがあります。
さて、3が主役になったのはなんといってもカリー、黄金期のGSWの尊大でしょう。点差が離れていてもみるみるうちに詰めていくのでこのGSWの存在が、終盤点差が開いていてもなかなか控えがメインにならなくなった原因とすら言われているほどです。
カリーはどこからでもうちますし、タフショットも打て、速いために3を止めるというのは簡単ではありませんでした。
カリーの時代以降3はより戦略的に使われるようになっていきます。ディープ3などを決めるのは観客を沸かせます。まぁ皮肉なことに、今年のASなどでもダンクと3のオンパレードで守備をしなかったので盛り上がりは少なかったようですが。
東京五輪で女子バスケ日本代表が銀メダルという快挙をしましたが、こちらにおいても3を非常に有効に使うチームでした。3の魅力の一つとしてその効率の良さだけではなく、女性でも決められるというところに一つあるかと思います。
3の名手のカリー自身NBAの選手の中では大きい方ではないですし、身体能力も圧倒的というわけではありませんが、それでも3で一時代をつくりました。
女性で豪快なダンクを決められる選手は限定的かもしれませんが、カリーを目指すということはまだできなくはないというわけです。身体能力に依存したプレーというわけではないからです。
そういう中で、女子バスケではより戦術的に3は受け入れられるようになり、3を打てる選手というのも増え、それによってより面白い試合というのを観客に見せることができるようになったというわけです。
以前は男性が中心的だったスポーツに3という概念が入ってきたことで、女性版カリーと呼ばれるような選手が誕生し、それがアンビリーバボなプレーで観客を沸かせる。そうした循環が、WNBAの盛り上がりにつながっているというわけです。
女子スポーツは後進的なところがあるため、どうしても男性のスポーツほどに盛り上がりがある状態にまでなく、結果スポーツ規模がなかなか大きくならないものなどもありますが、クラークの誕生、WNBAの盛り上がりは一つ可能性を示しているようにも感じますね。純粋にプレーでファンを盛り上げることができているからです。
これからのWNBAとクラークには注目すべきかもしれません。