ヤマトの営業所 | 米の心

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2024年問題で流通業界は変革が求められています。その中で、ドライバーの再編をしたりと様々な変化が見られ、ヤマトも以前であれば翌日に届く荷物が翌日に届かない地域なども増えてきているようですね。

先日、宅配便をお願いしたいと思ってヤマトの営業所に足を運んだところ、そこの営業所が閉鎖となっていたという体験をしました。営業所への持ち込みは、受付時間の柔軟性があったり、専用の端末で過去の履歴からプリントアウトできたりと非常に便利が良かったのですが、持ち込みする場所そのものがなくなるというのは改めて不便さというのを感じますね。

ヤマトとしては営業所などが点在しているところから、一つのところに集約し、そこからの配達ということでより合理的にすることで、ドライバー問題などに対応したいという思いがあるのかなと思います。

実際、例えばAmazonなどのECサイトは非常に早く購入したものなどが届くわけですが、Amazonはヤマトみたいにあちこちに集配所、営業所を設けているわけではありません。それよりも少なくてできているというわけですから、ヤマトなどからしても、あちらこちらの分散させるのではなく集約化することで効率的にしたいということでしょうか。

ただ、Amazonとヤマトはそもそものビジネスモデルが違うというところがあります。

Amazonからすれば倉庫から直接配達すればよく、物によっては長く倉庫にあるものもあるかもしれません。基本的には倉庫にあるものを購入者へ一方方向の流れとなりますので、非常に合理的にすることができるわけです。

一方でヤマトはお客さんの品物を他のお客さんに運ぶというのが目的であり、お客さん同士をつなげる役割があります。だからこそ、営業所を様々に設けるということで、送り手への対応をしてきたのであり、その利便性の良さというのがユーザー満足度につながっていたという点はあるかと思います。

どこかに集約するとなると、そこまで持ち運ぶのが今までより大変になったりするケースは当然に生まれますし、また、ヤマトやクロネコメンバーズカードなどによってそれを自己完結でデジタル化していたところもあって、例えばコンビニなどに預かってもらえるといっても、そこがそのまま営業所と同じようにとはならないわけです。

この辺り、都心であったり、あるいは、若い世代であればその変化に対応できるかもしれませんが、ご高齢の方や、田舎暮らしとなると果たしてどうなるのか、また、そのような地域での営業所の集約をどうするのかという点は気になりますね。

田舎となると、コンビニが歩けばあるという訳ではないですし、ヤマトの営業所そのものもあちらこちらに点在しているわけではありません。ある意味では、その田舎においてヤマトの営業所というのは送り主にとって重要な場所と言えるのです。

この話は、受け手の目線で言えばそれほど大きな問題とはなりません。最悪家に受け取りの時間いればいいいわけですし、新しく始まる置き配サービスを利用すればよく、それがどこの営業所からであるかといったことは大きな問題ではないからです。

自分の家から一番近い営業所がなくなってしまえば、場合によっては普段の生活圏にはないところまで行かなければいけないといった話にもなってくるわけです。田舎であればあるほど人口も減っているので、ビジネス的に言えば営業所を閉鎖するのは合理的ですが、一方で閉鎖されてしまえば、その影響を受ける人が多く出てしまうというわけです。

田舎は場合によっては、農業などが盛んな地域などもあり、そうした場合知り合いに農作物を送るといったことも多いかもしれません。都会での生活が苦しい子供に食べ物などを入れて小包で送るなどといったこともよくあったでしょうし、お歳暮や中元などでの利用などもまだまだあるのではないかと思われます。

その意味で言えば、田舎のお客さんというのはヤマトにとってもある意味ではいいお客さんであったといえます。

営業所まで直接持ってきてくれるために、自分たちで集積する必要がありませんし、様々なタイミングで使ってくれるので、お客さんとしても太客です。

ヤマトは基本的には送り主あってのビジネスモデルです。着払いなどの利用もあるかもしれませんが、特に個人間での利用などであれば送付者が負担するのが一般的だからです。そもそも、何かを購入するなどといったことではない場合、何か物を送る上で双方の合意のもとに行われるという話ではないケースがほとんどです。送り主がある意味では勝手に送っているわけですね。ゆえに送り主が負担するというのも当然となります。もし、受取人負担であれば、いくらでも嫌がらせで送付するなども可能ですし、そういった場合受取人が拒否をしたら、配達業者としてはビジネスが成り立たなくなります。送り主負担であるというのは、間にあるヤマトなどの企業にとってもある程度は前提とも言えるわけです。

だからこそ、ヤマトは営業所を多く用意するという選択肢をとってきたわけです。

営業所に持ち込んでくれれば、取りに行かなくていいですし、地域に密着する形でお客さんを取り込むことができたというわけです。

営業所を減らすというのは、その意味では非常にヤマトにとっては合理的であるけれど厳しい選択ともいうことができます。今までのビジネスモデルからの転換を求められる行為だからです。

2024年問題などの中で今までのビジネスモデルを継続することがそもそも困難であるゆえの選択といえばそうかもしれませんが、実際のところ、コンビニがあるであるとか他の選択肢があるといっても、前述のように若い世代であればともかく、そこに柔軟に対応できない世代というのが出てきてしまいます。

そして、おそらくヤマトなどの利用客は後者の利用がも多いと思われます。

例えば誰かから誰かに何かを送る、そういったケースを考えた場合に、都会の息子から、田舎のご両親に小包を送るといったケースはそれほど多くないように思います。しかし、その逆は割とありそうです。

営業所が減っているという意味で言えば、その点おそらく、都心の方がより減らしやすいかもしれません。物流として都心は入ってくる方向であり、出て行く方向とイコールではないからです。

そのあたり、どこの営業所がなくなり、どこの営業所を残して行くのかヤマトの選択は気になるところですね。

2024年問題、ヤマトの動きなどがすでに様々なところに出てきているのを感じますが、営業所がなくなるというのは割と実際に体験すると大きなもののように感じましたね。