本紹介:新書アフリカ史 改訂新版 | 米の心

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今回ご紹介するのは講談社現代新書、宮本正興さん松田素二さんの編集となっている新書アフリカ史改訂新版になります。

1997年に出たものを改訂して2018年に出たものですね。

1997年当時と今ではアフリカも大きく変化したところがありますし、その部分を加えるだけではなく、従来の部分も新しい知見や主張に基づいて見直しが入っているとのことです。

執筆者は賞や節ごとに違っていますね。その分場合によっては、ちょっと癖というか執筆者の主張が強いなと思うところはありますね。特に近代史の部分はその傾向が出ているのかなという印象を受けます。

日本の世界史的なアプローチというのは、非常に西洋史観が出やすい傾向があるように思います。まぁ今の社会自身が西洋史観的な要素が非常に強く、そこが支配的だからなのですが、高校などの世界史の教科書や授業を見ても、中国史を除けば、西洋的なアプローチがある以前のところへの記述というのは非常に薄い傾向があります。

インドなどですら、四大文明としてインダス文明などが紹介されますが、その後インド史について出てくると言えば、アレクサンドロス3世がインド遠征をしたなどの後は、ムガル帝国やモンゴル帝国の関連、その後は近代の独立運動などの話だったりします。カンボジアなどはアンコールワットなどは習いますが、ではカンボジア史でほかはというとクメール朝に触れる程度でしょうか?

南アフリカなども世界史的なアプローチはスペインによる征服がメインという感じだったりしますね。

文字がない文化は、やはり文化の伝承が難しかったりしますし、征服者にとって都合がいいように伝えらえていきますから、西洋が関わる前というところはどうしても情報が少なかったり、正しくなかったりということが多く行われるわけです。

世界史はその西洋がどう世界に広がっていくかというのが事実としてはあるので、その西洋史観というのが強く現れやすいですし、日本の世界史もその影響を受けていると言えます。

アフリカ史なども、エジプト文明に触れた後は、西洋と対岸の北アフリカが中心であり、後はイスラム王朝周りが中心であり、その後は植民地で分割されなどといった感じで、そのアフリカ史についてhきちんと触れるという機会はあまり多くないという人もいるのではないでしょうか?

この本はそういったアフリカ史について、川、地域ごとに植民地以前のところへアプローチをしたり、イスラムや西洋列国とどのように関わってきたのか、植民地支配がどのような形であったのか、あるいは、他の大陸文明とどう交渉してきたのかということなどについて書かれています。

特に前半は、植民地支配以前のアフリカ史などに触れており、非常に勉強になるところが多かったですね。

前述のように執筆者が異なるため、特に近代以降においては、その想いの強さや主張というのが出てしまっているところなどはありますが、まぁ割と後半になるにつれてそういう傾向が出てしまう本というのはしばしばありますし、ここで紹介したことのある本でもそういうものはあったかと思いますが、それはそれとして受け止めればいいのかなと思います。

非常にボリュームのある本である分、読み応えもある本なのでアフリカ史について知りたい人は手に取ってみても楽しめるのではないでしょうか?