アメリカの食文化 | 米の心

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アメリカの食べ物といったどのようなものが思いつくでしょうか?ハンバーガーやフライドポテトのようなファストフードを思い浮かべる人というのは少なくないかもしれません。合理的なアメリカ人が合理的に食文化をアップデートした中で生まれたのがハンバーガーのようなファストフードともいうことができます。

アメリカという国はその歴史が非常に短い、新しい国の一つです。もちろん、イギリスによる植民地前のアメリカの文化というのもありますが、アメリカは植民地後に様々な文化を吸収しながらアメリカ文化を構築していったと言えます。

その意味で言えば、食についても同様であり、そのため、その食文化の背景に様々な民族や国というところの影響を大きく受けています。

アメリカの食べ物は何かで出てくるハンバーガーにしても、元々はハンバーグなわけですから、ドイツが発祥と言えますし、フライドポテトについてもアメリカやカナダではフレンチフライと表現されます。(フライドポテトは和製英語らしいです。)

フレンチフライの発症については様々な説があります。一つは、ベルギーを発祥の地とするもの。ベルギーについては現在も3ヶ国語くらい使われている国ですし、ベルギーのナミュール地方がフランス語の影響が強かったため、アメリカ兵が戦時中この料理を知った際にフレンチフライと呼ぶようになったと言われています。

他の説としては、フランスでフランス革命後に生まれたという説もあるようですが、どちらにしろフランスやベルギーあたり発祥というわけです。

アメリカといえばピザというイメージもあるかもしれません。ピザ=アメリカのピザでピッツァはイタリアのものという人もいるようですが、ピザはイタリア人移民などもいる中で、アメリカで独自進化をした食べ物といってもいいかもしれません。

先住民やスペインからの影響も受けており、ジャンバラヤは、スペイン料理と現地の食材の中で誕生したクレオール料理だと言われています。

タコスなどもアメリカ人は大好きですが、こちらはメキシコなどの中南米からの影響が強い食べ物といえるでしょうか?

イギリスの植民地として生まれたアメリカですが、こうしてアメリカ料理、アメリカの食べ物として思う以下ベルもののほとんどは、アメリカのオリジナルというよりは、各国や民族などの食べ物をアメリカナイズしたものということがわかります。

ボストン茶会事件などありましたが、アメリカでは紅茶よりコーヒーの方が需要が高いです。そのコーヒーはアフリカ原産で元々は薬などにも使われていたようですが、中東から欧州へと広がっていきました。イタリア人はコーヒーが好きといったイメージがあるかもしれませんが、ヴェネチアにコーヒーが伝わったのは1615年とされています。

ちなみにアメリカにコーヒーが伝わったのが1607年、キャプテン・ジョン・スミスによってとされていますが、アメリカでのコーヒーの記述が初めて出てくるのが1668年です。アメリカの13の植民地州ができたのが1732年、ボストン茶会事件が起きたのが1773年であり、ボストン茶会事件を機にアメリカでは紅茶ではなくコーヒーが飲まれるようになります。ちなみにアメリカ独立宣言が1776年とその3年後です。

お酒については、アメリカではビールとバーボンが好まれていたでしょうか?ビールについては様々なポップが売られているブリュワリーショップなどがあり、自家製のビールも楽しまれるほどです。

食べ物だけではなく、飲み物を見ても他の文化のものなどを取り入れているということがわかります。

アメリカが後発で生まれた国であり、植民地支配し、多民族国家になったというと当然かもしれませんが、それでもなお、もともとある料理からアメリカらしい料理への合理的な変化が生まれているという点については面白いところです。

まぁ、現地となると食文化が変わってくるので食材の調達などが難しく、そのままアメリカの土地でというのが難しいのはわかります。

カルフォニアロールについてあれは寿司ではないと思う人もいるかもしれませんが、アメリカナイズされたsushiであるというのは間違い無いでしょう。

なぜならば、近年海外でも魚を食べる文化というのは増えてきていますが、特に欧州においては魚を食べる文化というのはそれほど多くないからです。サーモンなどは好んで食べられますが、海の魚といえばタラやニシンなどが好まれる一方で多様に食べるという印象はありません。

これは、保存技術などの問題もあってのことだと思います。そして、その長期保存をさせてまで、内陸まで魚を運ぶコストなどに需要が合わなかったのだと思います。

そうすると、当然魚を取り扱う技術の発達というのは、肉などに比較すると後回しになります。

日本は魚を中心とした食文化が形成されており、そこに対しての投資というのも積極的であり、それが近年の冷凍技術などの発達につながり、どこでも生魚を、刺身やお寿司で食べられるような環境の構築に至ったわけですが、そもそも生で魚を食べる文化がないところでそれをそこまで発達させようとはならないわけです。

冷凍技術だけであれば、お肉などにも共通するかもしれません。ただ、漁師がどれくらいいるのか、漁師の技術はどうなのか、そもそもの加工はどうするのか、そういう周辺環境もあって日本の魚文化の発達があり、一方で他国でそこまで魚にこだわる文化というのはそれほど高くなく、結果日本の生魚を食べる文化のようなことを他国でやるのは難しかったというのは正直なところかなと思います。

カルフォニアロールの誕生は1963年に日系人が考案したと言われています。

1963年は、日本でも冷凍技術が発達しておらず、海沿いでは新鮮な魚が食べられていましたが、山間などでは新鮮な海の魚の確保が難しく、保存のきくサメやエイなどの軟骨魚類が食べられていた時代です。

アメリカは日本よりずっと発達していた文化を持っていたかと思いますが、生魚を寿司として食べるための市場、経済が当時あったとは考えにくいです。

その中で、アメリカであるもので誕生したのがカルフォニアロールだったというわけです。

ちなみにカルフォニアロールは、カニ、アボカド、キュウリ、ゴマなどを巻いたものになりますが、カニやエビなどの甲殻類は全世界的に需要が高い食べ物の一つですね。アボカドについてはメキシコ原産と言われており、この点でもやはりアメリカは周囲の文化を取り入れることでカルフォニアロールというものを開発していることがわかります。

日本は、しばしばその他国の料理を独自に発展させます。

ラーメンは日式ラーメンといわれ、日本人だけではなく海外からも人気でインバウンドでラーメン需要というのは高いですし、カレーにしてもやはり独自発達をし日本のカレーもまた象徴的な日本の料理とされています。

アメリカについては、方向性は日本とは違うところはあるかもしれません。

ただアメリカの食文化もまた、その多民族国家で合理的なお国柄らしい形で、他文化をアメリカナイズし、もはやアメリカの食べ物として世界に認知されているような形にしているという点はもう少し着目されてもいいように思いますね。

実験的でトライアンドエラーが早く、合理的に次のステップに移行するアメリカだからこそ、アメリカ料理としてそれぞれの食文化が進化したというわけです。