高速のトラック制限速度90キロに | 米の心

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8トン以上のトラックにおける高速道路の最高速度を現行の時速80キロか90キロに引き上げることが決定したようです。4月1日より施行されるとのこと。2024年問題として取り上げられているトラックの人手不足への対策の一環ということでしょうか?

90キロとなったのは、現行の車両は03年に装着が義務づけられた速度抑制装置の上限である時速90キロを前提に設計されていたからのようです。

23年12月に行われた有識者会議で90キロに引き上げたとしても、交通の安全に大きな影響を与えるとは考えられないという提言がまとめられ、警視庁が引き上げの方針を示したというのが流れみたいですね。

さて、個人的にはあまり意味があるかどうかはわからないですね。

そもそも制限速度を引き上げることが、働き方改革につながるのか、ドライバーの負担を軽減するのか、事故のリスクが上がるとは思えないという有識者会議のまとめには根拠がないように思いますね。

8トン以上のトラックという話ですから、そもそも制限速度が10キロ上がれば制動距離にかかる距離も大幅に伸びることになります。その中で、ドライバーはより速い速度でのドライビングを求められますから、より疲労が溜まりやすくなります。

燃費などについてはそのトラックがどのような設計になっているか次第かなと思いますね。重いものを運ぶことを前提にしているためそもそも燃費は重くなれば重くなるほど悪くなり、速くなるほどに悪化しそうですが、ブレーキなどをより踏まないドライビングができるかどうかなどといったほうが重要かもしれません。

では実際に制限速度を90キロにあげたとして、そのスピードで高速道路を走れるかというとその問題は難しいように思います。

制限速度をあくまで守ることを前提に言えば、前に車がなければその速度を維持して走ることが可能ですが、基本的には前に遅い車などがありいつも飛ばすことができるわけではありません。

一般の車両の場合は、追い越し車線を走り、10キロや20キロ速く走ることによって追い抜くことができますが。90キロのリミットが本当にかかっていることを前提とすれば、追い抜くのが難しい状況というのが生まれます。

トラックについては、制限があることによって、マックスが伸びないということがそもそもが高速での運転の難しさにつながっている面があるかと思います。

左側の車線を走る時は現行の80キロでも問題はないでしょう。しかし、実際に遅い車などで詰まった時に加速の悪いトラックで加速し、制限速度がある中で追い抜き車線を走り、結果、後ろに飛ばしたい車の渋滞ができ、それが左側の車線へも影響し、トラフィックを渋滞させるといったシーンはよく見る光景です。

追い越す時に十分な加速をし、十分な速度で追い抜けるのであれば、トラックの運行というのはもっとスムーズになる面はあるのかなと思います。

しかし、90キロであれば、結局乗用車より遅い速度になるため、トラフィックが混雑してきた時に対応することが難しくなります。それでは、結局80キロであろうと90キロであろうと安定した速度で走るというのが難しくなるということにつながるというわけです。

また、時速80キロが90キロに上がったところで、運ぶ時間がどれほどに短縮されるかは疑問があります。

そもそも荷下ろしや荷積みなども含めた中の配送時間であり、高速を運転している時間などはその中の一部でしかありません。

東京ー大阪間が高速で500キロ程度でしょうか?仮に80キロを維持して走ったとして、6h15m、90キロの場合で5h12mで1時間あまりの短縮が見込まれるということになります。まぁ実際は首都圏内などは80キロを維持するなどといったことが不可能ですからもっと時間はかかりますし1時間より時間の差においては少ない話になるかと思います。

今回で言えば、高速の速度制限なので下道の時間は同一と言えます。

では、1時間短縮したからといってそのことによって、もう1往復ができるようになるかといえばもちろんそれは不可能です。

今回の24年問題は、ドライバーの労働環境を改善することが目的とされて行われた一環で正日、運送問題を解決できるのかというのが根底にあります。

ドライバーの労働時間がブラックであり、そこに規制をかけるという話ですので、それはその日の1時間短縮できたからといってどうにかできるものではありませせん。積み下ろし等の時間を含めれば、大阪ー東京間でたとえ90キロで走ったとしても、プラス1h〜2hとして6時間から7時間になります。1回向かって終わりであれば、確かにこの時間なら労働基準に則った時間前後に当てはまりますが、それで終わりとするならば、ドライバーが圧倒的に足らなくなります。つまりは、往復が前提になります。

往復となると12h〜14hになるでしょうか。この場合は、休憩を含めて考えても、ブラックと言われる状況を改善できる話にはなりません。

また、基本的に何かあった時に責任はドライバーに行きます。置き配などがコロナの時増えましたが、現状はヤマトなどでも一部のECサイトなどを除き、例えば個人間での置き配はやめていたりします。実際に受け取れたかという証明ができず、何かあった時はドライバーの責任になるためドライバーもやりたくありません。ヤマトとドライバーは業務提携などの関係にありますから、ヤマト側がやるなといっていることをドライバーはできないわけです。

仮に出荷物などに破損などがあれば、積み荷の時は正常であったということが見込まれるのであれば、それを運送したドライバーに責任が行くというのは道理です。ドライバーはその責任を負うコストを考えると、無理なドライビングというのは好まなかったりします。

荒々しくリミットを越えたドライブをするトラックもたまにいますが、基本的にはルールに忠実に対応しているというのは、保身のためにも重要であると言えます。モノを運ぶ仕事をしていて、モノに何かあった時その責任が自分に来るということを考えると、そのモノの取り扱いを中心に考えるというのは当たり前かもしれません。

よって、制限速度を上げたからといって、往復回数を劇的に増やせるわけではなく、その上でドライバーの労働時間に制限がかかり、ドライバー不足であるという状況になりますから、根本的な問題の解決には繋がらないとなるのが正直なところではないでしょうか。

ドライバーの待遇が大幅に改善され、それによってドライバーが増えている状態となれば、あるいはこのことも意味があるかもしれませんが、前提の条件が異なるわけです。

ちなみに、ドライバーなどについて外国人労働者も認める方針があるようですが、このあたりは、簡単に行くかは疑問だったりします。

私がたまにいく飲食店の店主がいうには、最近の外国人労働者はバイリンガルであり、真面目で優秀な子が多いそうです。一方で、優秀であるがゆえに個人経営の飲食店が示せるような時給ではきてもらえないのだとか。

日本政府は外国人労働者をあてにしている感じがありますが、ちょっと感性としてずれているところがあるように思いますね。安いサラリーで日本で働きたいと思う外国人労働者が一体どれほどにいるでしょうか?というのが現状に近いものだと思います。今や日本で労働し、仕送りをなんて時代ではなくなっているからです。

まぁトラックのドライバーというところで考えると、外国人を取り扱うというのは企業にとっても簡単ではないところもあるかもしれませんね。

善良な外国人がほとんどであることを前提としつつも、実際はモノを盗むなどといったことを起こす人がいるのも事実です。トラックの場合積み荷ごと盗まれるなどといった可能性もありますし、そうなると会社への莫大な損失を生むことになりますし、日本の交通ルールを把握し、大型トラックの免許を取得しとなると敷居も高いです。お客さんとトラブルになった時に対応などを考えると運輸会社からするとリスクが高い選択をしたがないでしょう。

ドライバー不足とばかりいますが、ではドライバーを増やそうにしてもそのドライバーが乗るトラックはあるのでしょうか?1台を複数の人で乗り回すにしても、制限が多いですね。

さて、この辺り色々含めて考えるとやはり机上の話を進めている印象も強いですが、一体どうなるでしょうか、気になるところです。