アサヒ、ストロング系から撤退へ | 米の心

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アサヒビールが、ストロング系から撤退するようです。健全で持続可能な飲酒文化を目指し、高アルコール商品の展開を控えることにしたと公式にコメントを残しています。まぁ、何を持って健全とするかというのはなんとも難しいところではあるように思いますが、そもそもアサヒはストロング系チューハイを多く提供している企業ではありません。ストロング系といえばストロングゼロなどのサントリーをイメージする人が多いでしょうし、一時期話題になったコカコーラの檸檬堂などと比べてもストロング系のブランディングがきちんとできているかといえばそうではありません。

よって、単純にストロング系とされるような高アルコールチューハイ部門にここから参入し、切り崩していくというのは合理的な選択ではなく、そうではない形でのRTDでのブランドの確立を目指すという話なのかなと思います。

一方でアサヒはアルコール度数7度のものも新製品として提供しており、そのあたりどこからが健全かというのは難しい気がしますね。

ただ、上述のようにストロング系と言われるような高アルコール酎ハイでアサヒがブランディングに成功していたわけではないので、そこからの撤退は合理的であり、別のアプローチに向かうというのはやり方かと思います。

そのあたり、RTD事業においては、より細かい差別化というのが進んでいくのではないでしょうか?

ストロング系と言われるものがなぜ、これほどにその地位を築き上げることができたかといえば、単純に安く酔える飲みやすいお酒というのがあまりなかったからかと思います。もっと言えば、糖質ゼロであることなども大きいのかもしれません。

缶チューハイというジャンルで言えば、ストロング系が出てくるまでは、甘く、アルコール度数の低いものというのが多かったように思います。これは、缶チューハイの当初のターゲットとしてみていたところが、若年層であったり女性というところへの意識が高かったからかもしれません。

しかし、一方で、給料は上がらないですし、学生などが手軽に楽しめるお酒というのはなかなかに苦労する点があります。ビールは高く、発泡酒は正直そこまで美味しいとは言えないからです。かといって、缶チューハイはアルコール度数が低く、ちょっと飲んだくらいでは酔えないし、甘ったるい、そんな中でガツンと酔える手軽なアルコール飲料というところへ関心が言ったのだと思います。

特に若い世代にとっては、ワインや日本酒などはなかなかに親しみがないものであり、炭酸飲料などの方が入りやすいというのもあるでしょう。

ペットボトルワインなどであれば結構安いですし、アルコール度数としても十分なものはあるかと思います。また紙パックの日本酒などもコスパでいえばいいものはあるかと思いますが、クオリティも差があり、飲みやすくないもの少なくないため、敷居の高さはあるのではないでしょうか。その点、炭酸で割ってあり飲みやすい、ストロング系というのは受け入れやすいというわけです。

また、ストロング系が定着したのは、個人的にはコロナの影響も大きかったのではないかと思います。

単純にコロナによって外食より家飲みなどの機会が増えたという人は多かったかと思います。家で飲む時の選択肢となると、上述のように酔いたい誰かにとってはストロング系となるわけです。

さて、一方で、今後は、その間というところが着目されるのではないかと考えています。

ストロング系は確かに安く酔えますが、健康面が気になるという声もありますし、ただアルコールを摂取するだけの飲み物といった感覚に近いものがあります。

一方で以前からのアルコール度数の低い飲み物では物足りないという声もあるのは確かかと思います。

そうなると、その間アルコールもしっかり味わえて、しっかり美味しい缶チューハイなどへの需要が高まるのかなと思います。

例えば、果汁がしっかり入っていて、果実味をきちんと味わえるけど、アルコール度数もそれなりにある缶チューハイといったようなものです。

この辺り、価格設定をどうするかなどが難しいところですが、缶チューハイという分野で考えた場合、アルコール度数以外で差別化をしようとすると、どうしても果実味などにベクトルが向きやすいかと思います。

アサヒはその辺り、どの分野でブランド構築を目指すのか、注目ですね。