テスラと大寒波 | 米の心

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アメリカを大寒波が襲っているようです。その中で問題となっているのが、テスラ、というよりは、EV車ですね。EV車に充電すらできないということで自動車社会であるアメリカにおいて、打撃となっているみたいですね。

リチウム電池は寒さに弱いです。これは、自動車のようなものではなくてもスマホなどで経験したことがある人はいらっしゃるかもしれません。冬寒い中外でスマホをいじると異常な速度で電池が減り、バッテリーがなくなってしまいます。冬の登山でもしようものなら、一瞬でスマホは持たなくなってしまいます。寒さというのはリチウム電池にとって弱点だといえるのです。

ただ、スマホの場合だと、基本的に日常生活において、その弱点で困るということは少ないかもしれません。それほど本当に寒い外をスマホをいじるということは日常的ではないからです。車の中などであれば暖がとれますし、そもそも外寒い中スマホをいじろうとすれば専用の手袋などをしていない場合は、素手で触ることになり、手が寒くて長時間触るのは難しいかと思います。徒歩などでの10分やそこらの移動時間くらいがせいぜいある程度で、そのくらいの時間では大きな影響はないでしょう。

スマホそのものもポケットの中やカバンの中などで携帯することが多く、より寒い外気にさらされるということは多くはありません。つまりは、スマホを使う中で想定される条件として、それほど極寒の条件でとなることが日常的には起きにくいというわけです。

しかし、車となれば、別です。車を家の中に入れるという人は少ないでしょう。よって、車は外気にさらされ、冷えてる状態というのは冬季であれば珍しくありません。

ガソリン車などであっても、冬季はエンジンが温まるまで、エアコンをつけても冷たい風が入ってくるだけで、温まりません。車のエアコンは、基本廃熱を利用して温めているものであるので、エンジンが温まらない限りは、エアコンで暖めるということができないからです。

電気自動車の場合、リチウムバッテリーを積んでいるわけですから、想定された温度以下となると途端に機能しなくなくなります。

機能しなくなるというだけではなく、そもそもの充電すら困難になります。急速充電する為にもバッテリーは最適な温度というのが求められます。よって、最適な温度になるまではそもそも急速充電すらできないということになるわけです。

リチウムバッテリーに依存している分全ての機能が制限されるということになります。つまりは電気自動車は極寒の中では使い物にならないといってもいいと言えます。

アメリカでの大寒波が話題になっていますが、氷点下20度などといった条件は、北海道などでは珍しい話ではありません。つまり、今回の寒波は特別的な例外的な話というわけでもなんでもないということになります。

電気自動車のバッテリーの弱点というのは、寒い地域に住んでいる人からすれば常識の範疇なのかもしれません。

問題は、その外にいる人です。

電気自動車などを日常的に使えるところで生活している人にとって、その弱点に気づく機会というのはなかなかありません。だからこそ、それが起きた時に大混乱となるわけです。

まぁ、これは電気自動車のバッテリーのの弱点という話だけではなく、タイヤの話であったり、雪対策であったり、やはりそれを日常、生活圏にない人は、そこへの対策を根本的に知らず、それがゆえに無茶な話というのも出てくることがあるようです。

さて、このリチウム電池の弱点というのは、個人的にはどうしようもない問題であり、(どうにかできるのであれば当然対策がすでにやられていることかと思いますので)その意味において、ガソリン車から電気自動車への移行の話というのは非現実的な側面が強いというように感じています。

電気自動車はクリーンと言いますが、弱点となるものが多すぎるからです。寒さに弱いというのもあれば、急速充電といってもガソリンを給油するよりは十分に遅いと言えるでしょう。そのシステムは複雑になりすぎており、誰もがすぐにメンテナンスをするということも難しいものとなっています。

また、電気に依存するシステムというのは、個人的にはリスクがありますし、エネルギー問題として電気の総量に対応できるのかという点でも疑問があります。AIであれなんであれ、今後電気需要というのが高まる一方で、電力不足問題というのは当然発生するリスクがあり、エネルギーを電気を前提とするつくるというのは無理があるからです。

そういう中で、では普及させてそちらに移行させることができるかというと、難しいかなと思うところではありますね。

では、そのテスラですが国別での売り上げを見てみるとどうでしょうか。

それを国別で見てみるとテスラの売上は半分以上がアメリカ本国に依存しています。他に割合が高いのは中国、ノルウェー、オランダ、カナダとなります。

アメリカに寒波といいますが、アメリカも元々北のほうは寒い地域がありますし、中国もしかりです。そして、ノルウェーやカナダといった国は寒い国といってもいいでしょう。

ノルウェーでテスラのシェア率が高いのは、ノルウェーがEV車に対して付加価値税の25%を免除しているからというのはあるからかと思います。つまりはEV車の導入に国が積極的というわけです。

ではどうしているのか、というと、実際は、ノルウェーの人々があれこれ対策をしているというわけではなく、テスラがモデルYから導入したオクトバルブといった独自の温度管理システムが機能しているとのこと。つまりは、このモデル以降のものは温度管理酢システムを導入することによって自動的に適温になるようになっているため、通常であれば問題は起きないという話ということのようです。

では、なぜ、今回のアメリカの大寒波では、テスラガ使えないなんてことになったのか。

この辺りは、それ以前のモデルを使っていたという可能性もありますし、そのバッテリーマネジメントシステムに稼働にも当然エネルギーが必要ですから、本当にバッテリー切れを起こすような状況になってしまえば、そこからの復旧には時間がかかるというのは当然にありうることです。

また、これは意識の違いでもあるかと思います。

上で寒い地域の人の話もしましたが、ノルウェーなどであれば当然そういうことを知っているはずですから、充電などもこまめにやっているでしょうし、その必要性を把握しているでしょう。

そうではない地域の人であれば、そのあたりがいつでもできると意識が薄かったりあるいは、そのシステムを使うことでバッテリーの消費が多くなるなら日常ではそれをオフにしているなどといったケースもあるのかもしれません。または完全にシャットダウンしている状態であればそのシステムも落ちるかと思うのでそういう状態から急に寒波となるとシステムが上手く働かない可能性はあります。

結局は、その意味では電気であっても、ガソリンであっても、人の意識、使い方次第ということなのかもしれません。