渋谷とハロウィン | 米の心

米の心

野球にサッカー、NBA、F1とスポーツ全般から、西洋や江戸、日本の歴史、経済、文化、社会や科学、時勢ネタその他種々雑多をただただとりとめもなくぼやくブログです。

毎年10月末になると話題になる渋谷のハロウィン騒動ですが、今年については事前にハロウィンのために渋谷に来ないでくださいという通知もあったためか、大きな混乱はなかったようです。以前からゴミや痴漢行為などが問題になってはいましたが、韓国でのハロウィンでの事件もあった中でおおごとにしたくないという話になったのではないでしょうか。

まぁ渋谷でハロウィンとなったのはある意味ではもともと渋谷のお偉いさんがその辺に緩和な態度を示していたためというのもありますので、その辺りは自己責任でもあるわけですが。

渋谷では大きな混乱にはならなかったハロウィンですが、ハロウィンでのコスプレを求めて渋谷以外、例えば池袋などでもハロウィンのコスプレ関連のイベントなどが行われたりしていたようですね。

池袋はもともとオタク文化との結びつきが強い地域ですし、コスプレする人とそうでない人が混じらないようになどと考えられていた設計が良かったとする声もあったようです。

では、今後渋谷でのハロウィンはどうなるかというと、渋谷区、あるいは渋谷の街としての立場を踏まえて考えると、好ましいとは思わない=縮小傾向を継続したいという動きになるのではないでしょうか。

そもそも、渋谷でのハロウィン騒ぎというのは大きな問題があると言えます。

それは、韓国のように大事件になるリスクがあり、ゴミ問題や痴漢行為、迷惑行為が行われるリスクというのもそうですが、単純にこのイベント、騒ぎが渋谷にお金を落とすイベントになり得ているかというところで疑問があるからです。

何かしらのイベントをする、外から人を呼び込むという上で重要なのが、このお金を落とす、経済的な効果が考えられるかといった点です。

渋谷でコスプレする人はコスプレの衣装を渋谷で買っているわけではおそらくないでしょう。渋谷でコスプレを楽しみ、その場の雰囲気を楽しんではいますが、ではその人たちはそこにどれだけお金を落としているかといえば疑問であり、正直なところお金をほとんど利用せずにその渋谷でのハロウィン騒ぎを楽しむことができます。

一方で、ハロウィンで大混乱となった渋谷において、通常時に利用する客はその混乱を避けるために渋谷を使わないという選択肢が発生します。普段渋谷を利用している人であれば、そのまま渋谷でお買い物をしたり、食事をしたりということもしてくれるかもしれませんが、そういう渋谷にお金を落とす客にとってハロウィンのタイミングで渋谷に行くことのメリットはほとんどないと言えます。

ハロウィン騒ぎで楽しんでいる人はそのイベントを楽しんでいるわけであって、その中でわざわざどっかのお店に入って飲食を楽しむということをする人は少数派でしょう。飲食を楽しむために渋谷に来ているわけではなく、外で行われているコスプレイベントを楽しんでいるに過ぎないからです。

そうなると、自然渋谷の街に落とされるお金というのは通常時より少なくなる、経済効果が期待できない可能性の方がむしろ高いということになり得るわけです。

今回のように事前に通知し、警察なども多く動員するとなれば、むしろそういった警備コストなどが高まり、出るお金は増えるけど、実入りは減るということにすらなるかもしれません。その意味では、渋谷でのハロウィンイベントというのは大きな盛り上がりを見せる、注目されるイベントである一方で、渋谷にとって魅力的なイベントであるかという点はまた別である可能性というのを示唆しているということができます。

これは、渋谷でのハロウィンイベントに限ったことではありません。

日本では、外国人旅行客や県外の人を誘致したいという市町村や都道府県のイベントというのは行われています。インバウンドなどによる集客というのは積極的な国の施策の一つともいえるかもしれません。

しかし、外国人客などを呼び込むことは必ずしもその地域にとってメリットがある話ばかりではなく、デメリットも多く生まれるということが起こり得ます。

外国人客が多ければ、文化の違いなどもありそれだけ迷惑行為などのリスクが生まれますし、人が多いとそれだけトラフィックが混雑したりするので、そこで住んでいる人にとっては好ましい話とはなりません。

そこに住んでいる人たちにとってそれに見合うだけのメリット、見返りがあれば別ですが、観光地に住んでいる人が必ずしも観光業に関わる仕事をしているわけではありませんし、また、観光地だからといって必ずしもお金を落としてくれるとは限らないわけです。

実際、自分たちが旅行するときなどを考えても、お金をどこでどう使うかということは計画的に考える人はいるのではないでしょうか。

例えば、交通費や宿代などは安く抑えたいという人もいるかと思います。現在日本は円安が続いており、海外からすると旅行のしやすさがあるのは事実ですがそれと無駄にお金を使うかというのは別です。お金は使いたいところ、使うべきところに使うというのは旅先でも基本的には変わらないからです。

資金が潤沢にあり、そこを度外視しても構わないようなお金持ちの人であればともかく、海外からの旅行客も基本的には予算があり、その予算の中でどうやりくりするかという話である以上、おカネを使わないで済むところにはお金を使わないという選択肢を選ぶわけです。

日本の観光地としては京都などは有名ですが、一方で京都の観光の多くは、別にお金をたくさん落とすことなく楽しめるものが多かったりします。寺や神社に参拝料などがある場合もありますが、高額な設定金額ではありませんし、それは街全体にお金が落ちるという話にはつながりません。

日本の物価が安いからという理由でモノを買いに来た人であれば、それこそ京都で買い物をする必要はなく、より安く買えるところで購入するという選択肢をすること可能です。関西は交通手段が発達し、京都はアクセスがいい地域ですので、ホテル、泊まるところすら京都にこだわる必要はないと言えます。むしろ、他にも色々回りたいのであれば大阪の方がその後の展開がいいかもしれません。

何かとコラボなどを市町村などがするケースもありますが、それも結局コラボをすることにコストがかかる一方で、では実際に、コラボをして、その街に人が来て、どれだけ街にお金を落とすかということがあるのかということが大事であり、ただ人が来ても、お金を落とさなければ意味がないわけです。むしろ、人がごった返しになり、そのことから起こりうるデメリットの方が大きくなる可能性すらあります。

そうして考えると、やはり渋谷でのハロウィンというのは渋谷にとっては経済効果を期待する要素は大きくなく、一方で混乱やコストが発生するという上でメリットが低いということが言えます。

では渋谷以外でならどうか、その点は、ビッグサイトでの一大イベントでのコスプレなどはそれぞれの目的もあって高い経済効果があるかもしれません。しかし、ハロウィンとコスプレというものだけにフューチャーした場合はそのイベントをする意味合い、誘致した結果として望ましいものを得られる状況、どうやってお金を落としてもらえるかというシステムを作るというのは簡単ではなく、なかなかそれを根付かせるというのは容易ではないように思いますね。

とすると、渋谷でハロウィンをするなというのは至極当然の動きであり、そのような誘致に対してメリットがないと判断されれば他のものについても同様の動きというのは今後見られるかもしれません。

 

文化といえどやはり経済との結びつきが大事というわけです。