代表の試合の話 | 米の心

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このところ日本代表の活躍というのは素晴らしいものがあるように思います。男子サッカーに野球バスケ、女子サッカーもW杯開催前は地上波では見られないかもしれないとまで言われてましたが、終わってみれば好成績を残し女子サッカー代表を楽しんだ人もいらっしゃったのではないでしょうか?ラグビーのW杯にしても見られる人は見てたという人は多いのかもしれません。

個人的にそれほど日本代表の試合だから興味を持ってみるというタイプの人間ではないのですが、世間的には代表戦は高視聴率になることが多い印象を受けます。

バスケのW杯も日本代表の快進撃があったからこその視聴率というのもあったのかなとは思いますが、地上波で放映したのもあって普段バスケを見ない人もこれを機に見ていたという人も多いのではないでしょうか?

こういう背景には、個人的には、放映権とネット社会の浸透というのがあるのではないか?と思います。

まずは、放映権についてですが、地上波でもそうですしネットでもそうですがそれをライブ中継しようと思えば当然その放映権を購入する必要があります。そして、テレビ局はその放映権を購入して放映するほどに視聴率なりを稼ぐということが必要とされています。その視聴率や放映権というのが見合わないとされたからこそ、女子のW杯は当初地上者では見られないのではないか?と言われたわけです。

また、WBCで日本代表の活躍は素晴らしく、日本国内で非常に盛り上がりを見せましたが、一方でアメリカではWBCについては専用チャンネルなどに申し込みをしてないと、試合を見られないという話もあったようです。この辺りは日本とアメリカでのWBC、野球というスポーツへの盛り上がりの違いというのも感じますね。

日本はかつてスポーツ中継というのはよくされていたように思います。それは代表戦だけではなく、レギュラーシーズンの試合も含めてですね。

特に日本テレビなんかは読売系ですから、ジャイアンツの試合なんかはホームゲームの時はほぼしていた時期もあったのではないでしょうか?それもあってか、プロ野球=巨人という印象も根付き、巨人ファンというのが全国にいるという状態になったともいえます。

パリーグの試合なんてあまり中継されてなかったので、人気のセになるのは当然ですし、地方であればその地域のプロ野球球団の中継はするので広島は自然とカープファンが、近畿は自然と阪神ファンが増えるというのは当然の流れだったかもしれません。ただ、読売は全国区ですから、熱狂的なカープファンや阪神ファンがいる地域でも、巨人ファンは相当数いたとも言われています。

しかし、00年代以降あたりから、徐々にプロ野球中継の延長がなくなり、中継そのものも民放でされなくなってきました。

されなくなった理由は、野球人気の低下やほかの番組への需要、放映権の問題と様々にあったように思います。趣味などが多様化していく中で、ペナントレースで野球を見たいという需要が全体的に減っていったというのは確かなところでしょう。

そして、それとともに、00年代以降日本で徐々に進んでいったのが、ネット社会、インターネットの普及です。

インターネットが普及したことによって、ますます民放でスポーツ観戦をするというよりは、見たい人がネットで観戦をする、より趣味的な意味合いが強くなっていったように思います。

そして、その中でスポーツというのはある種有料コンテンツ化が当たり前のようになっていきます。

昔BSでやっていたころはNBAを見れていた人も、今は楽天に何かしらで加入しなければ見れませんし、プロ野球中継などもDAZNなどの有料コンテンツを見なければなかなかみることが難しかったりします。

これは、有料コンテンツで見るのが当たり前になって、余計スポーツ観戦をライブで見る機会というのはある意味で減っていた人たちが存在するということになります。

また、ネット社会になって映像を見る機会が増えた人たちは、徐々にコスパだけではなく、タイパ、タイムパフォーマンスへの意識というのも強くなっていきます。時間が有限である以上その有限の時間をどう過ごすかという意識が強くなっていったわけです。youtubeにしろあれこれ見たいと思っても時間に限りがあるわけですから、その中で見るためには、倍速で見たり、あるいはみないという選択肢をしたり、飛ばしたりと様々な手法で自分にとって効率のいい見方というのをチョイスするようになります。

これは、TikTokのようなショートムービーが増えてきてからはさらに拍車がかかったかもしれません。

そうなってくると、スポーツの楽しみ方も、必ずしもライヴで見なければならないという話ではなくなってくる人も出てきます。安くない有料コンテンツでスポーツ観戦をするのであれば、ハイライトでわかりやすくまとめられたyoutube映像の方がよほどいいという考えが出てくるのも当然というわけです。

野球でもサッカーでもバスケでも、レギュラーシーズンの全ての試合を見たいというほどに熱狂的なファンというのは限定的かなと思いますし、例えその中に本当に見たい試合があったとしても年間数試合のその試合のために有料コンテンツに加入するというのはちょっとなという話であるライト層というのがここで大量に発生します。

一方で、地上波で放送されなくなったスポーツに関して、そのスポーツに普段興味がない人はますます触れる機会というのがなくなります。テレビ離れなどと言われてる時代であればなおのことそうなのかもしれません。

ただ、これは、どちらも潜在的に日常的にそのスポーツに触れていない人たちが多くいるということを示しているのであって、そのスポーツが嫌い、全く興味がないということを示しているわけではないともなります。また、RSの1試合となるとその試合を積極的に見たいと思われる要因もそこには発生しづらいところがあるでしょう。

それらを解決する答えとしてあるのが代表戦なのではないかなと個人的には思うわけです。

普段はハイライトなどで済ます人も、代表の試合であれば興味が全くないわけではないし、地上波で無料で観れるならみようとなるわけです。

これは、地上波というよりも無料というのhが大きなポイントの一つかもしれません。それを示しているのが、昨年のW杯カタール大会です。カタール大会で話題になったのがAbemaTV。彼らが放映権を購入し有料会員でなくても観られる環境を作ったことによって、Abemaでも見るという人が多く現れました。

つまりは、かつては気軽に無料で観られたスポーツ中継というのが有料コンテンツ化され、気軽さがなくなった中で、普段そのスポーツに高い関心がない人でも観られる機会というのが気軽にある状態というのが、代表戦な訳です。

代表戦のような試合であれば、SNSなどを通じて多くの人と共感をシェアすることもできますし、職場や学校などでの話題のコンテンツとしても活用することができます。その環境というのは非常に好ましい環境ということができます。

テレビ離れと言われる中で、バスケのW杯で22.9%という高視聴率となったというのは、単純に注目度のある大会、試合といった話だけではなく、やはりこのスポーツ観戦を楽しむ土台というのが日常的に失われつつある中で、スポット的にそれを楽しめるイベントがあるということの意味合いが大きいように感じます。

スポーツが有料になったからこその代表選をみんなと一団になって楽しむ喜び、それがより熱狂を呼び、好循環、代表への後押しとなっているのかもしれませんね。

またこのことは、有料コンテンツを利用するほどのコアなファンではないけれども、そのスポーツに潜在的に興味がないわけではないライトユーザーが多くそこにはいる可能性というのを示しているともいうことができます。この辺り、競技人口などを意識する各スポーツ団体にとっては何かしらの糸口にもなるかもしれませんね。