外国人登録選手の話 | 米の心

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外国人登録選手といえば助っ人外国人とも言われ打線の中核となるということがこれまでは多かったように思いますが、ここ数年その流れに変化が生まれてきているのかもしれません。最近は、打率が残せない、本塁打が打てないというケースが増えてきていますね。

例えば、昨年のシーズンで見てみますと、規定打数にのっている選手で打率が、.280を超えている選手はセリーグで言えばヤクルトのサンタナのみ。HRでも20HRオーバーとなっているのはオスナのみとなっています。

オスナは打率が.255ですからそれで23HR、OPSは.754というのは以前であれば助っ人外国人としては物足りないといったあたりになるかもしれないですね。

サンタナ選手が打率がほぞ3割で、HRは17、OPSが.828ですからこちらは十分優秀といっても良さそうです。

OPSで見てもセリーグだと10以内にあるのはサンタナのみ、オスナが12位となっています。そのほかの外国人選手となるとOPSが7を切る状態であり、正直このレベルだと助っ人として高いサラリーを払って任せるには物足りないという話になるかと思います。

パリーグで見てますと、打率が最も高い外国人選手が西武のマキノンで.2589、HRはロッテのポランコが25本でトップ、OPSでみると、ポランコがトップで.791それに日本ハムのマルティネス、マキノンと続きます。

パ・リーグは特に打ててない傾向がありマキノンのOPS.730でもOPSでトップ10入りする水準となっています。OPSのトップ10に3人外国人選手がいるとみると、まだ貢献度があるように見えますが、OPSの高さなどでみるとやはりもう少し頑張ってほしいなというのが正直なところではないでしょうか。

これは打撃における外国人選手の役割の大きさが変化してるという話にもなるかと思います。

外国人助っ人選手の加入のメリットは主軸の即戦力をすぐに補強できるという点にあります。そして、中軸がしっかりするというのは、打線に好循環の影響を与えます。

例えば、長打のある選手が中軸にいると、その前の選手をランナーとして貯めたくはありません。となると、その前の選手についても甘い球を投げにくくなるということになります。一方で後ろに長打がなければ、それほどプレッシャーがかからず投手は自分たちの投球をしやすくなります。

つまり、外国人野手が打たなくなるというのは、それだけ打順に影響し、より投手が有利で、打者が不利に働くということになります。

パリーグがこのところ投手が圧倒的な成績を残すことが多いですが、それは投手の質が高いというのはもちろんありますが、外国人野手が満足のいくパフォーマンスを見せれていないというのも理由の一つかと思います。

特にDHなどがあるパリーグにおいてDHなどでの出番が多い外国人が十分に結果を出せないというのは、チームの打率、得点力というところに大きく影響します。外国人野手の成績が振るわないからといって日本人の純粋打線でそれをカバーできるほどの圧倒的な選手もおらず、なかなか打線として厳しくなってしまっているわけです。

外国人野手がなぜ打てなくなったのかというところについては、日本のプロ野球のレベルが上がったことと、その文化、そしてフライボール革命の影響はあるのかなと思います。

日本の投手力というのは世界でもトップクラスといえます。平均球速は10年前よりずっと上がっており、中継ぎで155オーバーなんてどの球団にもいるレベルになっています。また、そもそも変化球が文化として強い日本は、変化球の質も世界トップクラスの水準があり、かつその変化球も多彩です。

MLBなどですと変化球を何種類も投げるといったタイプの投手はそれほど多くはないのではないでしょうか。得意の変化球とストレートで抑えるというシンプルなタイプが多いと思います。山本選手のようにどの変化球も一級品みたいな投手はなかなかいないわけです。(日本でもいませんが。)

変化球が多彩であり、リードの幅が広いというのは、フライボール革命と個人的には相性が良くないと思っています。

フライボール革命はスイングスピードと打球角度をどうすればHRが増えるのかという話なわけですが、つまりはそれはピンポイントなバッティングを求められるということになります。HRも多いけど、三振も多いというわけです。より変化球が多彩で選択肢が多い中で、ミートをしに行くわけではなく強振をし、ピンポイントにHRを狙ってくバッティングは、対応が難しいのではないかというわけです。

もちろん、それも日本の投手力がそこまで高くなければそうではないでしょうが、今は投手力が高く、それがゆえに環境への対応、変化球への対応様々な対応を考えると以前ほどすぐに日本球界で結果を残すというのは簡単ではなくなってきているのではないかという印象を持ちます。

一方で、外国人投手の活躍というのは近年より強くなってきているように思います。

横浜入りをしたサイ・ヤング賞投手のバウアーの活躍だけではなく、特に中継ぎや抑えをみると、中日のマルティネスや横浜のウェンデルゲンや広島のターリー、ロッテのペルドモにSBのモイネロ、オスナとトップクラスの活躍をする選手が目立っています。

中継ぎというポジションはいくら人数がいても困らないところであり、また1回などの限られたイニングを投げ切るだけの勝負球を持っていれば対応ができ、各球団にとって戦力の厚みをつけやすいところというっことで重要度の重みが強い部分です。

それらを踏まえて考えると、今後は助っ人外国人野手というところへももちろんアプローチはしていくでしょうが、そこに高いコストを支払うよりは、中継ぎを中心とした投手陣へのシフトというのが進んでいく気がしますね。

日本とMLBではサラリーの剥離がすごいことになっていますが、中継ぎというポジションに関して言えばMLBでもあまりもらえていない傾向があり、その点相応の能力を持っていれば日本での稼ぎというのも選択肢になりうるともいえます。中継ぎで高いサラリーの選手を見ても元先発や元抑えであったから今高いという選手が多いですね。ましてマイナーやMLBを行き来するレベルであれば日本というのは全然アリな選択肢になるわけです。

外国人による補強は安易に補強できるがゆえに、今までは投手も野手も積極的に行われてきましたが、現状野手については徐々に計算が立たない、リスクが高くなってきているという印象を受けます。

外国人に主軸を当てるつもりでそこの補強が十分ではないということがもはや当てはまらなくなってきているわけです。ゆえに、日本人野手できちんと打てる、主軸を打てる選手の存在というのがより大きなウェイトを持つようになり、そういう選手を獲得、育成できるということもまた重要になってきそうです。

以前ほどに活躍が期待難しくなってきた外国人野手、中継ぎを中心に活躍を見せる投手といった中で、外国人選手に求める役割というのも徐々に変わっていくのかもしれませんね。