POが架橋を迎えていますが、それに伴い敗れたチームのHCの解任のニュースを多く耳にしますね。シーズン中などでも成績不振であればNBAでHCが解任されるということは珍しくありません。例えば、今季でいえばネッツを率いていたナッシュはシーズン序盤ですでにHCを解任という形になりました。
ネッツの場合は、カイリーの言動であったり、KDの怪我であったりナッシュ自身ではコントロールできない問題というのもあったように思いますが、それでもなお、結果が出せていないというところでの解任、チームの解体というところは仕方なかったのかもしれません。
今季のHCの解任については、RS中に思うように結果を出せなかったチームのHCが解任されるといったシーンだけではなく、POでの結果というところに厳しく見られいる印象がありますね。
例えば、サンズのHCであったモンティ・ウィリアムズであったり(モンティの場合は新オーナーになってからの流れからすると結果が出なければ解任というのはある程度想定されいたようにも思います。)MILでずっとRSでは1位に導いていたもののPOではリングに導いたのは1回、今年も1回戦敗退となってしまったブーデンホルツァー、76ersをCFに導くことができず、ゲーム7での弱さが目立つドック・リバースなどはまさにそれに当たるといえるのではないでしょうか?
このことについてヒートのエリック・スポールストラHCは、「実績のあるベテランコーチが解任されるなんて信じられない。唖然としてしまう」とその心情を述べています。
POはゲーム7まで進んでしまうとRSの1/4くらいの試合数はあるので、POはまた別物といってもいいかと思います。そして、そこで結果を出せないというところについて責任を問うというのはチームからすると当然かもしれません。
むしろ、RSで素晴らしいシーズンを送っただけに、POの短期決戦で結果が出ないというのは、選手の問題というよりは、そこで選手を生かせなかったHCの責任とでもなるのでしょうか?
ただ、個人的には、HCを変えたい気持ちもわからなくはないけれども、HCを変えることがPOを勝ち上がることに必ずしも繋がらないのではないかという気がしています。
なぜならば、POの戦い方そのものをわかっていくにもそれだけの経験というのが必要だからです。そして、その経験というのは、チームの選手だけではなく、チーム全体に対して言えることであり、それはHCも然りということです。
今季のPOでGSWがLALに敗れたあと、GSW王朝時代の終焉という声もありますが、逆に今年のGSWの状況からすれば、アップセットをし、セミカンファレンスファイナルまで行ったというのはやはりこれまでのチームの経験、カーというHCがいたからというのがあるのかなと思います。
CFに勝ち進んだチームのうち、MIAとDENについては、そのチームのHCとしてのキャリアが長い人がしているというのが現状です。MIAもDENもこのところはPOの常連のチームであり、それだけPOでの経験をチームだけではなく、監督も積んできているとういことがある意味ではここまで押し上げているのではないでしょうか?
特にMIAの場合は、プレーインで勝ち上がってきての8位であり、下馬評でMILを破りCFまで行くと思っていた人はいなかったのではないでしょうか?
MIAはMIL、ヤニスへのPOでの対策というのがきちんとできており、またCFでもBOS相手にバトラーを中心にしつつも他の選手も躍動し素晴らしい結果を示しています。
バトラーがPOになってからRS以上の素晴らしい活躍をしているというのもありますが、チームとしての経験、HCとしての経験というのが出ているからというのは少なからずあるのではないでしょうか?
GSWのカーは昨年GSWを再びリングに導きましたが、もともと優秀なカーですがGSWで8年率いた経験というのが、あったからこその手腕であり、その手腕の差というのがBOSとの差としてFで出たところも大きかったように思います。
過去の優勝チームのHCを見ても、長くHCとしてそのチームを率いていたり、そうではなくともHCやACとしてのキャリアを積んできている人がHCをしているケースというのが多く見られるように思います。
例えば、今季で解任となったラプターズのニック・ナースは18年就任した年にチームをリングに導いているとはいえど、その前に5年間チームのACをしており、その前はDリーグのHCをずっと経験しています。
レブロンとADでバブルの中で優勝したLALのHCヴォーゲルにしろコーチとしてのキャリアは20年くらいある時であり、その前にもペイサーズやマジックを率いている経験がありました。
RSとPOの違いは、POの場合は誰にでもそれを経験する機会が与えられないという点です。その点において、強いチームでRS勝ち上がり、POで負けるというのは残念なことであっても、そのスペシャルな経験をできるというのは貴重であり、それは次のステップにつながる可能性を秘めているといえるのではないでしょうか。
その意味で言えば、まぁドックはずっと同じことをしているので流石にという気もしますが、MILのブーデンホルツァーなどはもっと我慢をしてもいいのかなという気もしました。
チームの成熟、選手の成熟や経験、そしてそれをHCが理解し把握し、チームでの信頼性が構築され、POでそれを発揮できるそのことが勝利へ近づくこととも思うので、優秀なHCが今年は多く解任となってしまったわけですが、それが果たしてベストな選択であったかという点については難しいところなのかもしれませんね。