第101回全国高校野球 大会2日目 | 米の心

米の心

野球にサッカー、NBA、F1とスポーツ全般から、西洋や江戸、日本の歴史、経済、文化、社会や科学、時勢ネタその他種々雑多をただただとりとめもなくぼやくブログです。

昨日行われた夏の甲子園大会2日目。連日暑い日々が続きますが、この日は大会注目チームが多く出場することとなりました。大阪の覇者の履正社に、ドラフト1位候補奥川くん要する星稜、こちらも注目投手の前くんがいる津田学園と非常に面白い高校が揃いました。

その中でまず第1試合は、地元でもある大阪の履正社と茨城、霞ヶ浦の試合となりました。毎度のことですが私は第1試合は移動中である時間のことも多く注目の高校が出ていてもあんまりしっかりみれないこととが多いのは残念です。

打撃力中奥の履正社に粘り強さのある霞ヶ浦がど戦うのかと注目していたカードですが、試合については履正社が先行していく中での乱打戦となりました。

流石に履正社は本当に打撃力がハンパないですね。1試合での5ホーマーというのは大会記録だそうですが、下位打線であろうと上位であろうとバットが振れていますし、打撃の速さというのが本当に鋭いです。この試合無得点で終わったのが4回と7回のみ、ランナーを出すこともできなかったイニングはないという凄まじさです。

序盤からどんどんと点を重ねていった履正社ですが、流石に初戦というところもあって点を確実に決めていくことへの意識の高さというのもまた感じられました。この試合通じての犠打は4本、例えば、4回などはすでに6点差付いていたにも関わらず、3番の小深田くんにバントをさせるという選択をしていましたし、9-5で迎えた8回もまた3番バッターに犠打をさせるという選択肢をしています。

国際大会などでは批判もされるようなともいっていい慎重なところもあった初戦のように思います。

ただ、履正社については、個人的な印象なところもあるのですが、打つ方は毎度素晴らしいのですが、投手力というのはそう高い印象のないところですね。この試合でも、6失点と霞ヶ浦が素晴らしい攻撃をしていたにしても、もう少し計算がある程度できてほしいところではあるかもしれません。

また、初戦というのもあって守備の乱れも感じれたので、この辺り今後どう修正していくかは重要になってくるのではないでしょうか?

この試合履正社は17安打で11得点と凄まじい結果を示しましたが、実はこの試合、これほどまでに乱打の試合にもなったにも関わらず、履正社が選んだ四球はわずかに2回の1つのみ。

最後まで粘り強さを見せた霞ヶ浦はも12安打6得点、こちらは四死球を合わせて6つ選ぶことができています。6回の4得点の猛攻もそもそもは黒田くんの四球から始まった得点ですね。

今大会はわりと四死球が目立つところもありますが、四死球をもっと減らすことができれば、履正社はもっと楽に勝つことができたと思いますし、例えば、大阪桐蔭であったり、智辯和歌山のような高校であれば、単純に打てただけではなく、もっと四死球も選ぶシーンももしかしたら多かったのかなとも思う試合でした。

それこそ昨年の大阪大会での履正社と桐蔭の試合は、四球を選ぶことができたかが勝敗を分けたシーンもありました。

四死球を減らし、より多くの四死球を選ぶことができるかどうかというのは、個人的には1回でも負けたらダメな短期決戦においては重要であるといえます。

そもそもセイバーメトリクスでいえば、出塁率の高さの方が打率より得点への相関性は高いとされていますね。長打力の差や展開もあって霞ヶ浦は敗れてしまいましたが、単純に打てるだけではなく、そのあたりを絡めていけば、履正社は優勝もまた見えてくるかもしれません。

履正社は、続く試合は津田学園と静岡の勝利高校となりますが、対戦経験のない相手との試合が続く中、どうしても打線は水物ですし、投手の質も上がっていきます。そうするとどれだけ少ないチャンスをモノにできるかという点において考えた場合、少なくともこの初戦のままの野球では、厳しくなってくるところもあるでしょうから、修正を期待したいです。

トーナメントの位置からすれば、星稜と智辯和歌山が当たる可能性が高いブロックなどからすれば割と悪くないブロックだけに確実に力をつけていきたいですね。

続く、2試合目は、静岡高校と三重の津田学園の試合となりました。好投手の前くん出場の試合となりました。

静岡はこのところ静岡大会を勝ち進むことは多いのですが甲子園ではなかなか思うような結果を出すことができてないところですね。今年の春のセンバツでは愛知の東邦が優勝を飾りましたが、個人的な印象で言えば、このところ中部勢というのは以前ほどの勢いがあまり感じられなくなってきています。

誉高校も初戦で敗れてしまいましたし、静岡県勢も昔はもっとプロ注目選手を抱えたり、勝ち進む印象があっただけに頑張ってほしいところですね。

その静岡と津田学園の試合ですが、好投手前くんの好投と早い段階での得点という形で津田学園有利で試合が進行していったように思います。

その中で試合を盛り上げたのは、なんといっても静岡2番手で4回からマウンドにあがった2年生投手松本くんでしょう。

松本くんは球速があるわけじゃないんですが、変則的なフォームから見極めの難しいストレート、スライダーに、チェンジアップを組み合わせての投球で津田学園を翻弄しました。

4回からのマウンドで4回、5回と4打者連続三振という素晴らしい立ち上がりをみせ、その後安打を打たれても粘り強い投球をし、結局6回を無失点でまとめ上げました。

左バッターへのストレートとスライダー、右バッターへはストレートとチェンジアップの組み合わせは本当に素晴らしかったですね。静岡が8回に1点返すことができたのは、松本くんの好投があったからだと思いますし、4回以降でいえば互角に試合を繰り広げたのではないでしょうか?

両チーム守備も安定していて積極的な守備をみせてくれましたし、四死球についても完投した前くんは2、静岡側も合わせて3(内1つは敬遠)というのも素晴らしかったです。

個人的にはここまでのゲームで最もいいげゲームがみられたなという内容でした。

完投した前くんは、1失点で抑えたものの9回を160球は割と展開が許さなかったところもありますが、球数がかさんだ印象があります。強豪校がひしめく大阪を勝ち抜いた履正社との試合と次はなるわけですが、それを踏まえるともう少し球数を抑えてベストな状態で迎えたかったかなという印象ですね。

まぁ履正社についてはそれこそ負けはしたものの静岡の2番手、松本くんのようなタイプの方が意外にハマるかもしれないかなとも思います。

今大会ここまででいっても仕方がないことですが、今回の松本くんもそうですが2年生であったり、1年生の活躍も結構目立ちますね。

選手にもよりけりなのですが、実は夏の甲子園は下級生が活躍することは珍しくありません。下級生はまだ来年がある上に、これまでお世話になった先輩たちのためにプレーをしようとする一方で、最上学年である3年生は後が無いというのもあってそういうことになるのだそうです。

敗れた静岡高校は、序盤の失点、先発の松下くんが誤算だったとはいえ、その後の継投は見事でしたし、いい試合をしたと思います。二遊間を守る神谷くんに相羽くん、関宮くんに城くん、松本くんと2年生の活躍がこの舞台を経験できたのは大きかったですし、それを次に活かしてほしいですね。

続く第3試合は、優勝候補にもあげられるプロ注目投手奥川くん率いる星稜と、北北海道代表の旭川大の試合となりました。トーナメントで考えた場合星稜のいるブロックというのは結構厳しいブロックで他をみても、京都の立命館宇治であったり、智辯和歌山などベスト8入りするだけの実力がありそうな高校が揃っているだけに、単純に目の前の1戦だけでなく、先々までトーナメントを見てどう監督が選手のコンディションを整えるかが重要なブロックでもあるように思われます。

この試合についてはもう旭川大の能登くんが素晴らしかったですね。9回130球完投となりましたが、ああいう投球をされると替え時はなかったですし、2回のピンチをわずか1点で抑えたのが大きかったです。9安打3四死球という中でも粘り強い投球で星稜に的を絞らせず1点で凌ぎ切ったからこそのこの1点差のゲームになったのだと思います。

能登くんの好投がこのゲームを非常にしまった好ゲームにしたとも言えます。

逆に言えば、確かに能登くんの投球が素晴らしかったとは言え、星稜は2回のチャンスを飛び出しなどでフイにするシーンもありましたし、走塁のミスが目立ちました。送りバント失敗も後半にありましたし、拙攻でしたね。

単純にチーム力で言えば星稜が上でしょうし、それだけ星稜が苦戦をしたというのが正直なところではないでしょうか?

それでもなおやはり初戦を取るということは重要ですし、まずは1勝したということ、そして明らかにあったそういうミスを今後修正していけばいいだけの話ではあります。ただ星稜は地方大会でも結構苦戦をしていた印象もありますから、奥川くんという投手を抱えているとは言え、チームとしての完成度が高いチームかといえばそうではありません。

林監督の采配そのものも優れている印象が私にはないので(センバツでは明らかに揺さぶられ監督が自滅したようなものですし)、それもあるが故にこの厳しいブロックをまずどう勝ち抜いていくかというところを注目したいですね。

その奥川くんですが、9回を投げて94球3安打1四球の完封勝利と非常に安定した投球を見せてくれました。球数も抑えて、最少失点ゲームとなった中できちんと役割をこなしました。

星稜は仮に順調に勝ち進んでいけばベスト8をかけたタイミングで今大会でも強打のチームの一つである智辯和歌山とあたります。

智辯和歌山は継投も多く的を絞らせませんし、投手力も低いチームではありません。旭川大は決して打力の強いチームではなかったのもあって余裕のある投球で1回戦を入れたというのは大きいですが、今後智辯和歌山のようなところに勝とうと思えば、奥川くんがいいコンディションであること、そして全体のパワーアップが必要だとおも思います。

そのあたり監督の手腕に注目したいところですね。少なくとも得点力というところでは充実させる必要があるでしょうね。

大会二日目最後の試合、第4試合は、京都の立命館宇治と久々の出場となった秋田中央の試合。立命館宇治についてはどこまでの実力か私はよくわかってないのですが、京都大会で破ったチームがすごいですね。

春のセンバツに出場した福知山成美と龍谷大平安に勝っての出場ですからすごいです。

ちなみに、この試合、秋田中央と立命館宇治は今大会で1番目と2番目に前回の出場からの間隔が開いたチーム同士ということでなんともその点も面白いものです。

秋田中央はなんと捕手が一年生の野呂田くん。今大会ショートなどのポジションで2年生や1年生などの下級生が入っているのを見るのは多いのですが、捕手でこの夏にレギュラーで入ってくるというのは割と珍しい話だと思います。それだけに、1年生捕手で打順も5番と中軸の野呂田くんには非常に注目したいところです。

この試合は、両チーム2年生以下の割合が多いので、その意味でも今年だけではなく今後が楽しみな高校同士のゲームと言えそうです。加えてなんとどちらも控え選手がキャプテンというのも面白いですね。

さて、その秋田中央の1年生捕手の野呂田くんいいですね!1回からいきなり見せてくれました。先頭打者が四球で出塁した続く2番打者の初球の盗塁を余裕をもって刺しました。コースは完璧ではなかったところがあるとは言え、1年生であの肩の強さというのは本当に素晴らしいと思います。インコースを使う強気のリードがいいですね。

その他バント処理をみても1年生とは思えぬ落ち着きぶりで2塁で刺したり、7回表のノーアウト1、2塁のチャンスではバントをするフリの揺さぶりで四球を選ぶなど非常に楽しみな捕手だと思います。

この試合、秋田中央の先発松平くんはコントロールで苦しむシーンも多く、被安打も多かったですが、それでもなお6回までお互いの無得点でゲームが進んだのは野呂田くんの存在が大きかったかなという印象を受けました。

反対に立命館宇治の先発左腕高木くんはいいですね。変化球の質もよく、ストレートカーブ、スライダー、チェンジアップどれでも組み立てることができ、低めにコントロールできていたので秋田中央はなかなかヒットを打つことが難しかったように思います。

まぁ秋田中央は全体的に大振りな印象もあったので、それが高木くんを手助けしていた印象もありますね。

それだけに7回の攻防が大きかったです。

ここまでランナーを背負うもののピンチを再三しのいでいたからこその7回表の秋田中央のチャンス。守備の判断ミスもあった中でのノーアウト満塁のチャンスだっただけに確実に得点に結びつけたかったシーンです。

セーフになったとは言え4番にバントをさせてまでのチャンス、逆に言えば下位打線で点を取らなければいけないというシーンでの仕掛けとしては正直無策で安易なものを選択してしまったように思います。

高木くんからそれまでは2安打しかできていない点を見ても、それこそノーアウト満塁、ワンナウト満塁のシーンでスクイズやエンドランを絡ませて得点して欲しかったですね。今回については、高木くんは、ボール先行、高めに抜けるものが多かったですし、疲れもあったのもあってバント処理での動き出し、満塁からのピッチャーゴロへのフィールディングの遅さというのもあり、そういうものもある中での得点のチャンスをモノにできなかったことが反対に裏の失点につながったように思います。

その裏の立命館宇治は、ヒットからの犠打、そして、セカンドへの強い当たり(記録上はエラー)での得点と確実に1点を取ることができていました。

秋田中央は前半こそは守備の乱れも少なかったですが、記録には残らない捕球のミスなども後半には増えてきていたような気がします。斉藤くんが足をつり交代するシーンなどもありましたが、このあたりは東北勢にとって関西の夏への滞納の難しさも出たのかなという印象を受けました。

個人的には立命館宇治の方が選手の質が高かったように思いますが、ここまでの試合になったのは、1年生捕手の野呂田の面白いリードも含めて、粘り強く最少失点で抑えていたこと、両チームの監督の指示、采配の問題もあったかなと思います。

秋田中央が拙攻で終わったのは、高木くんの好投もありますが、いらないボールに手を出したり、攻撃のバリエーションが少なかったりしたところにあったかなと思いますし、反対に、後半秋田中央にチャンスが多かったのは、高木くんの交代の判断を間違えたところにあるでしょう。

猛暑の甲子園であることを考えると球数などに関係なしに投手交代というのは常に考えるべきです。高木くんは素晴らしい投球をみせていたものの、6回から徐々にコントロールが悪くなり、それが7回、8回には顕著に表れていました。明らかに投手交代の時期です。

1点を争う展開でエースを交代することができないというのはわからなくはないもののそれでもなおやはりそこで代える判断があっても良かったのかと思います。もちろん最終的に完封勝ちをした高木くんは見事でしたが、7回以降の流れはそれまでの立命館宇治有利の流れとは違ってどちらが勝つのか、先の読めないモノだっただけに動くという選択肢もあってよかったかなぁと思いますね。

秋田中央、野呂田くんと松平くんのコンビは強気の攻めがあって、立命館宇治をうまく抑えていたというのは素晴らしいですが、それが故に四死球が多いのは個人的には残念な印象もありました。8回途中で四球4はともかく、死球3は流石に多い印象です。8回のはメットに当たりました。実力差もある相手であったのもあるでしょうが、死球はやはりあまり出て欲しくなかったです。

とはいえ、秋田中央はやはり個人的には野呂田くんが面白く今後に期待したいです。1年生で捕手としてスタメン5番の野呂田くんですが、打つ方でも面白い当たりもありましたし、何より強肩でピンチを救い、強気のリードができているので、この後体ができてきて、さらに成長しいけば非常に面白い存在になれると思います。これで秋田中央にいい投手が入ってきたら、下級生が多いチームであることもあって、来年、再来年が楽しみなチームになりそうです。

大会3日目となる明日は、智辯和歌山に明徳義塾、前橋育英に敦賀気比など甲子園常連校が揃いますが、いい試合を期待したいですね!