2018ドラフト寸評:巨人 | 米の心

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高橋監督が望まない形で監督となり、その中で3年間指揮をとり、今年はAクラスをもぎ取ることができたものの結果監督を辞任する流れとなりました。

良くも悪くも巨人の監督らしくない中での3年間というのは、個人的には若手選手については非常に機会がありよかったようにも思えます。阪神の金本監督は短気なところがある監督でしたが、逆に高橋監督は我慢強すぎるというか、頑固なところも垣間見えるような監督であったように思います。

若手へのチームの転換を考えていた時期という意味では、勝利至上主義を徹底している野球ではなかった高橋政権は、その機会に恵まれたといえます。岡本に吉川、田中、大城、山本などがある程度の出場機会を得ることができたのは大きかったですし、投手でも若手に機会を与えることができていた方だと思います。

今年の巨人については、相変わらず投手力の高さというのを示すことができました。計算外なところもあった中逆にメルセデスなどが穴を埋め、チーム防御率ではリーグトップ、WHIPなどでみても優秀な数値を示しています。

一方で苦労したのが、抑え、中継ぎといったところです。先発がゲームを作ることが多い中、ホールド、セーブ共にリーグ最下位、中継ぎで40試合投げた投手は一人もおらず、年間を通じて信頼できる中継ぎというのを置くことができていなかったといえます。

山口投手が後半に入り抑えをすることも尾かったですが、この辺りはチーム事情によるもので、本来なら山口投手を先発に戻した上で、中継ぎの強化を図りたいですね。チーム防御率が一番いいチームなのに中継ぎのコマ不足に悩まされたシーズンといえます。

山口投手は完投力が高いので、菅野投手と山口投手で中継ぎを休ませながらというのがこのチームの理想的な流れですね。

不調だった田口選手や今村選手、そして畠選手などが成長しチームの柱になる3年後以降に合わせてチームの再編成というのを考えたいですね。その意味では現状の菅野投手などへ依存しすぎている状態からの脱却を図る必要があります。

打つ方では史上最年少で3割30本100打点を達成した岡本選手のブレイクは素晴らしかったですね。加えて長年の課題であった二塁手として吉川選手が計算できそうになった点もよかった点であるといえます。

一方全体で足を絡ませることができる選手が少なく、ベテランへの依存傾向というのは依然としてあります。外野でも亀井や長野選手に続く選手というのがなかなか出てきていません。また、今年はマギー選手が守っていたサードを誰が守るのか、という点も課題であり、坂本選手の後釜も考える必要があり、外野内野共に強化、若返りの必要性というのは依然としてある状態です。

ただ、この辺り来年からは原さんがまた監督をするということでどういう流れになるのかが怪しいところです。

原監督は日本一に何度も導いている監督ですが、勝利至上主義に近い野球をするため、若手を我慢して起用し続けるということはありませんし、選手に求めるものは高いものを求めます。それにこたえることができなければ、若手がまた伸び悩むという可能性は高いですし、今年はFAで丸、浅村選手に西投手など目玉選手が多く、この辺りの補強をどう計算するか次第でドラフトへの影響しそうですね。

個人的に言えば、高橋監督の後すぐに原監督となると今伸びてきている岡本選手にしろ、来シーズンどうなるかというところは疑問もあり、今年成長した選手も含めて来シーズンは未知数なところが多い球団といえそうです。

補強ポイントとしては、投手は中継ぎを基軸として、外国人助っ人の依存度が高いところをより厚みを全体的に持たせたいです。吉川や内海投手が先発を現状でもしているというのは厳しい状態であり、FA補強に加えて高校生、大学生で可能性を広げたいですね。

野手については、このチームもベテランが多い外野手の補強というのは必須ですね。丸選手で補強するにしても、現状、亀井、陽、長野選手というベテランで囲まれている外野という状態からの脱却にはならず、積極的に外野の補強をしたいところです。

他に野手で言えば、公言しているように坂本の後継者となる選手の必要性、それに、打てるサードも欲しいところです。

全体的に言えば選手層そのものは悪いチームではないですが、若い選手がなかなか芽を出せない流れというのはFA獲得もあってあるので、その中でどうやりくりするかは興味があります。まぁ、正直なところ経験豊富な選手をFAで補強し続けるというのも一つの手ではあるものの、近年ポスティングが一般化しつつある中で、海外に挑戦する選手も多く、FA宣言する選手が以前より小粒な選手にまとまり始めているため、自力での育成の必要性というのは大きくなっていくでしょうね。

また、逆にその意味では、FA宣言するかどうかはわかりませんが、これほどまでに目玉となれる選手が多い年も珍しいので、狙えるのであれば積極的にFA補強するのは今年についていえばありだと思います。

では、その巨人のドラフト指名はというと、

×1位 根尾 昂 (大阪桐蔭、内野手、右左)
×x1位 辰己 涼介 (立命大、外野手、右左)
1位 高橋 優貴 (八戸学院大、投手、左左)
2位 増田 陸 (明秀学園日立、内野手、右右)
3位 直江 大輔 (松商学園、投手、右右)
4位 横川 凱 (大阪桐蔭、投手、左左)
5位 松井 義弥 (折尾愛真、内野手、右左)
6位 戸郷 翔征 (聖心ウルスラ学園、投手、右右)

育成1位 山下 航汰 (高崎健康福祉大高崎、外野手、右左)
育成2位 平井 快青 (岐阜第一、投手、右右)
育成3位 沼田 翔平 (旭川大高、投手、右右)
育成4位 黒田 響生 (敦賀気比、内野手、右右

となりました。

ドラ1は公言通り根尾くんで勝負したものの取ることができず、外野手補強も兼ねて辰己選手に行きましたがこちらもダメで、結果八戸の高橋投手を指名。

今年はドラ1候補が少ない中で2回外した分有力候補が少なくなった結果を受けたところはあるように思えます。

ただ、このところドラフトで巨人は尖りすぎですね。左腕としての面白さはあったとして、果たしてドラ1でこのタイミングで狙うべきかどうかという点については疑問があります。

巨人は実はドラ1という意味では過去10年で活躍した選手が多い球団です。しかしその中には経緯としては微妙な菅野、長野選手などがいますが。

とはいえこの5年でみると、小林、岡本、吉川は成功の部類でしょうから、ドラ1そのものは悪くなかったりします。

ただ、一方でドラ1の外れパターンは大抵知名度の高くない選手をなぜそのタイミングといった感じのことが多く今回もその類になるのではないかという危惧が若干ありますね。

意味不明なドラフトという印象も受ける巨人ですが、当たり外れがはっきりしているといった話でもある気がします。

今年は2位指名は高校生の増田くん。注目度の高い選手ですが補強ポイントとしてどうなのかという気もしますが、坂本の後継者が欲しいという流れだと思います。

巨人のドラ2は戦力になれたなったといえそうなのは、今村、宮国、畠くらいでしょうか?戸根選手は期待してたほどの成長を見せませんでした。

他球団に行った後の活躍も含めると実はその年の4割程度は1軍でそれなりの結果以上を示していたりします。ただ、オリックスにも言えることですがバランスという点で言えば欠けているケースも見られますね。

それは今年のドラフトを見てもわかります。

4位で横川くんを指名していることもそれに通じることですが、育成の意識が高く高校生が中心のドラフトとなってしまいました。

その中で補強ポイントの一角である外野の補強はされなかったようです。

巨人は他の球団より高齢化に課題のある球団であると言えます。

その中で、補強ポイントの一角である外野は補強しない、全体的に高齢化が始まっているのに、高校生重視のドラフトを取るなどの面を見ても、効果的なやり方ができているとは言い難いでしょう。

FAの際の巨人のプロテクト枠の話がしばしば話題になりますが、巨人は選手がいないのではなく、芽を出すにふさわしい環境を提供しておらず、いつどういう形というのが全体ベースで見えていない印象を受けます。

 

現状の高齢化ペースから考えるともう少し即戦力候補を補強する必要性というのを感じますね。

そのあたりのちぐはぐさというのが見えるあたりが現在の巨人の厳しさを示しているように思えますが、FAなどである程度補強できることが前提であるスタンスなのかもしれません。

 

思い切ったドラフトだったとはいえ、日ハムみたいに高校生が出てくる環境があるわけではないですし、巨人のチームの傾向からすれば、厳しい気がします。

 

近年若手若手と言われますが、12球団を見合わして、先発投手で高校生で1軍で爪痕を残せるようになる選手は多くありません。MLBに挑戦するような選手は超高校生級ばかりです。野手に至っても当初から注目度の高い選手が多く、高校生を育成するというのは個人的には半分幻想に取り憑かれている気がします。

 

まぁ、野手の場合は投手ほどに即戦力で機能しない傾向が大卒などでもあるのである程度育成という意識を持つことは悪いとは言いませんが、それも育成する土台があってのことで、高校生を単にドラフトで撮ればいいというわけではありません。

 

実際のところ、巨人でみても高校生で入りレギュラーを勝ち取ることができたのは坂本選手くらいというのが現実です。

 

この辺り、若手育成という表面的で具体的ではない目標に踊らされた形のドラフトのようにも見えますが、どうなのか数年後に期待したいところです。