医者の帰り道。ノースショアのカフェ。サービスで頂いた一口チョコ。
友あり、遠方からやって来た。足の治療に。
彼女のリクエストに従い、整形外科と神経内科の予約は取った。
日本の医者達に原因が特定できなかった激しい痛みを軽減せねばならない。
整形外科と神経内科で駄目なら行ける所はどこへでも行く積もりで意気込んだ。
こちらの医者の診察費は高額だが「診た」だけの責任はとってくれる。
自分の専門でない疾患と分かれば次に最も可能性の高い分野を特定して紹介する。
自分の診たて、自分の専門外である理由を述べた診断書も書く。
なので、苦痛を抱えた患者が途方に暮れなければならない羽目には決してならない。
この手の専門医は概ね市街の高級地域に診療所を構えている。
患者は高額な診察費が払えるか、そのための高額な保険にはいる事の出来る人種になる。
残念な事だが、命はお金で買える事もあるのが悲しい現実だ。
公立病院は無料だし設備も医者も優秀だが押しかける人々が多すぎて「待ち」が長い。
話は戻って友人「わからんかったんかい」さんを診た整形外科医。
患者と医者の名乗り合いと握手から問診が始まる。今まで経緯と現在の状態を詳しく。
次は診察着に着換えての触診、と言うよりは様々なポーズを取らされていた。
曲げたり、ねじったり、傾けたりで患部への影響を見ているらしい。
「あ、これは腰だね。しかも背骨の ここ! に問題がある。」とハッキリ指を指した。
詳しく調べて治療を行うのでX線とMRIを撮る手配をすると言う。
「神経内科の予約もとってあるんですが…。」「必要ないよ。原因は解ったから。」
少なくとも80%、場合によっては100%の痛みを取り去ることができると断言してくれた。
診察時間は40分前後ではなかったかと思う。
日本でこういう調べ方をした医者はいなかったと「わからんかったんかい」さんは言う。
しかも、患者に不安を与えたり、横柄だったりする事は決してないのがこの国の医者。
治療費は高額だが日本での健康保険の払い戻しもある。問題は旅行費だけだ。
良かった。本当に嬉しい。診察室を出て思わず二人で抱き合った。
X線とMRIの検索も済んで、今日はもう一度専門医、Dr パターソンに会う。
手術の可能性もあるだろうが、心配はしていない。治癒の保証はすでにしてもらった。
地獄のような痛みから解放される日ももうすぐだ。
昨夜「わからんかったんかい」さんの部屋のゴミ箱を空にした。
日本で撮ったX線、MRI、エコー、その他の画像を収めたCDが無造作に捨ててあった。
無駄もいい所だ。日本の医者は何をしていたものやら。
腹は立つが、過ぎた事と思うしかない。
絶望は人を殺す。
大切な友人を殺されてはたまったものではない。
良かった。本当に……。
