「わからんかったんかい」さんに連れていかれた名古屋の喫茶店。
このメニューをよーくご覧下さい。甘口が美味そう、じゃない、甘そう。
子供たちがまだ小さかった頃。
家の近くの花屋でパートをさせてもらっていた。
家族同様に親しくして頂いて、今でも帰郷の際は娘共々泊めて頂く。
ある仕事休みの日、何の用かは忘れたが、車で店へ。
店内で何かしていると、店の表でご主人の奥さんの呼ぶ声。
「けーちゃん!あんたの車、駐禁に引っかかるでー!」
何?えらいこっちゃ!
店の前の道路は駐車禁止。が、停車は許されている。
表に飛び出すとなるほど、
婦人警官が手に持ったボードに車のナンバーを控えている最中だった。
「すみません、すぐ動かします!」
「ここ、駐車禁止ですよ。知ってました?」
「はい、申し訳ありませんでした。」
平謝り。下手に逆らわん方がいい。それに私はヤクザやないし。
「じゃあ、今回だけは警告で済ませますからね。免許証見せて下さい。」
はいはい、何でも見せます、何なら貯金通帳でも足の裏でも。
「ここに署名して下さいね。それからここに捺印、ね。」
署名、署名....と。え?捺印、てか?
「捺印って、ハンコ持ってませんけど。」
「必要なんです。」
「でもね、普通ハンコ持って車に乗ってる人いませんよ。」
なんだかイラっと来たぞ。
「じゃあ、拇印でも構いませんから。」
あかん.....。外国人登録やあるまいし。警察に指紋保管されてたまるかい!
「何の為に拇印が必要なんですか?」
「本人確認のためです!」
ふーん。えらいキッパリ言うやないの。そう来たか。
「あのね。本人確認っておたく今警告書書いてはりますやん。
誰に書いてはるんですか?本人確認できんと書いてるんですか?
さっき免許証も見ましたよね、これ。」
改めて婦警の前に免許証突き出す。写真を指差して、
「これ、この写真。これ、誰です?私でしょ?他の誰かに見えました?」
「............。」
そろそろこの辺でキメますよ。
「警察って本人確認する前に切符切るんですか!」
「わかりました.....,。結構です。」
馬鹿め。大人しい市民に向かって訳の分からん事言うからじゃ!
警告書は貰っとく。駐車禁止は事実やからね。
署名欄には私の名前。捺印欄、空白。.......よし!
振り返ると花屋の奥さんがお腹抱えて笑ってた。
「けーちゃん、ようやった!あんた、ヤクザや。」
何でですか?ヤクザは向こうさんやないですか。
虎の威借りて理不尽な横車押すのがヤクザちゅうもんですよ。
私は無力な小市民......。やくざやないもん!
