大物政治家からの圧力に屈せず、

『あたかも水中に月影を掬いあげようとするかのごとし』。すなわち、本件判決は証拠不十分によるものではなく、犯罪の事実そのものが存在しないと認めるものである」

と無罪を言い渡した場面を観て、2013年に観た舞台「気骨の判決」を思い出した。

※この時書いたブログにリンクします

 

三権分立の概念は戦前の帝国憲法にもあった。

天皇を支えるかたちでの三権並立ではあっても、司法の独立の重要性は理解されていた。

朝ドラ「虎に翼」で引用された、実際にあった「帝人事件」の判決文を書いた石田和外(いしだかずと)のように気骨ある裁判官は他にもいた。

 

その代表が、大政翼賛選挙で落選した(させられた)議員たちが起こした選挙無効訴訟に唯一「選挙無効」と判決を下した吉田久である。

焼失したと思われていた判決文が2006年に発見され、2009年にNHKスペシャルの終戦ドラマになった。※この放送で吉田久を演じていたのが今回の朝ドラ「虎に翼」で穂高教授を演じている小林薫※HPにリンクします

 

「虎に翼」では、社会のジェンダーによって自分の思うように生きることが困難だった女性たちが描かれているが、あの時代の人は皆多かれ少なかれ思うように生ることが制限されていた。同調圧力は今とは比較にならない強烈さで個人を締めつけていたのである。

女性とは逆のジェンダーによって自分の思うように生きられなかった男たちには、なかなか言及されない。