テレビタックルという番組で「同じ商品でも地元住民などと海外の観光客で値段を変える“二重価格”の試み。日本でも導入すべきか?」という議論をしていた。

※番組HPにリンクします

今年2月末に関空でみかけた5500円の「神戸牛ステーキONIGIRI」を思い出した↓

ほとんどの日本人は「高!」と思うが

外国人観光客にとってはそうでもないらしく、実際に買っていた。

 

もしここで二重価格制が導入されて、

「日本人パスポートをお持ちの方は3500円になります」

と表記されていたら、どうだろう?

 

そもそも「自国民には安く提供しましょう」という制度は、発展途上国のものである。

中国がかつて導入していた兌換券制度が思い出される。

当時、外貨から中国元に両替すると↑この兌換券が手元にきた。

外国人が使う前提なので片面は英語表記になっている。

一般人民が使う人民弊とは交換できなかった。

兌換券でなければ買うことができない輸入品を売る外国人用の店があり、

そこで売っているものを買うために人民弊との闇交換が行われていた。

交換レートは時により変化したが10人民弊が1兌換券ぐらいの時もあったと記憶する。

 

一方、市中の食堂は人民弊でなければ支払えないことになっていて

外国人と中国人民はお金によって行動を分けられていた。

 

自国経済がぜい弱な場合、

外国人向けの価格設定が幅を利かせるようになっては自国民が困る。
しかし、金持ち外国人にはもっとお金をおとしてもらいたい。
そういう時に二重価格制が使われる。
その方法として兌換券が導入されたわけだ。
 
観光地の入場券は
外国人●●元
人民●●元
と、格差表記されており、外国人は兌換券・人民は人民弊での支払いを求められた。
顔では国籍がわからない日本人が下手な中国語で「大人一人」とか言うと、
「どこの田舎かから出てきたんだ?」という顔をして
(闇で両替して持っていた)人民弊を受け取ってくれた。
 
中国は1993年に兌換券制度を終了した。
つまり、自国経済が外国経済と戦える水準に近づき
ここからは同じフィールドに出ていくぞと宣言したのである。
そして、2015年にはIMFが五番目の国際通貨に認定した。
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キューバでは今も兌換券制度がある。

※2015年のブログに詳しく書きました

2015年に小松が訪れた当時、兌換ペソは人民ペソの24倍と決められ、

両方の通貨を併用できる制度を導入していた。

だが、配給品など生活基本品は人民ペソでしか買えない仕組みだった。

 

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中国とキューバの例を体験して、

二重価格制というのは経済力の弱い国がやむを得ず導入する保護政策だとわかる。

二重価格制の導入を考えたくなるような通貨が国際通貨ではいられない。

「衰退途上国・日本」はどこまで落ちていくのだろう。