声優四人が演じる朗読劇なのでvoicarionという。
主人公はナポレオン時代のフランス料理の祖アントナン・カレーム。
※ナショナル・ジオグラフィックのページに彼の話と自画像デッサンが載っていたのでリンクします
ナポレオン失脚後の体制を決めた1815年のウィーン会議の料理を担当し、それによりヨーロッパ中にその名が知れ渡ったアントナン・カレーム。
彼とナポレオンと、ナポレオンを登用した外務大臣タレーラン、それにカレームの女性弟子で盲目のマリー。
この四人が言語だけで演じられる。
言語だけと言ったが、後ろに生演奏のクインテット。
ピアノ、ヴァイオリン、チェロ、フルート、そしてパーカッション。
彼らの音楽も五人目の主役だった。
生演奏があることで、動きはほとんどないこの舞台に大きな広がりをあたえている。
声優の組み合わせは、毎回変わる。
今回は↓
ぱっとわかるのは「タッチ」の浅倉南の日高のり子さんぐらい。
だが、舞台で一声を発すると皆存在感にひきこまれる。
ストーリーなどはあえてはぶくが
ナポレオンを登用したタレーランの老獪な雰囲気を安原さんが、「その年齢でなければ出せない声」で演じておられた。しらべてみると彼は1949年生まれ、七十代なかばにさしかかろうとしている。
今の自分が、十年少し後の自分に希望を持たせてくれる声だった。
十年少し後に、こんな雰囲気の声で語れる人になっていたい。
年老いていくのは誰にとってもつらいコトだが、
じぶんより先に歩いている人が、「年齢を経てこそ出せる味」を感じさせてくれる時、希望になる。
ナポレオンを演じる石井さんは
若いころと失脚後の(セント・ヘレナ島での?)声をみごとに使い分けておられた。
小柄であることを生かしてナポレオンらしさを出していた(^^)
休憩をはさんで三時間だが、長く感じない。
終演後、四人で短いトークがあった。
いろいろな組み合わせで演じることは声優にとってもどきどきハラハラする。
カレーム役の榎木さんはお昼も出演する二回公演だったが、
お昼とはぜんぜん違う雰囲気で演じられていたと、安原さんが言った。
「日高さんが母性を感じさせてくれたので、ちょっと甘えてみました(笑)」と榎木さんがコメント。
他の回の組み合わせもぜひ観てみたくなる。