フランス出発三日前だというのに、
気になっていたドラマをいっきに観てしまった。
ギリシャ神話でパンドラが開いてしまった箱の中に唯一残されたのが「ἐλπίς」=エルピス。
希望は、
それがあるから生きていける、とも言えるし、
希望があるから災いをひきおこすと分かっていることもする、とも言える。
物語によく合ったこんなタイトルを、よくぞ思いついたものだ。
こんな分かりにくいタイトルを、よくぞ押し通したと好意的に思う。
佐野亜裕美プロデューサーが六年かけて練り続けた、どうしてもつくりたいと思っていた作品だったそうだ。
今もはまり続けて何度も観なおしている2021年のドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』も彼女のプロデュース。
音楽は大友良英。
朝ドラ「あまちゃん」のテーマ曲で一躍有名になったが、
ここでは彼本来のかなり前衛的な演奏をドラマのシーンにぶち込んでいる。
主題歌の作曲に、「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌もつくったSTUTS。
こういう演奏や曲が看板ドラマに使われるようになると、十年前には予想もできなかった。