第一次世界大戦中のイギリス。
弟と婚約者が志願兵になり、主人公のヴェラ・ブリテンも従軍看護師となる。
配属されたのは、敵のドイツ傷病兵を看護する最前線だった。
オックスフォードで学び、ドイツ語も理解できた彼女は、
ドイツ兵が恋人の名前を呼んで死んでいくのを看取る。
「まぁ、ドイツ兵の看護をしたなんて、恥をしりなさい」
戦後のイギリスで、遺族が体験を話す集まりで彼女は白い目に晒されるが、
現場で無残に殺されていく兵士には、正義や名分など無意味なのをうったえる。
原作者のヴェラ・ブリテンの体験を基にした原作物語は1933年に出版された。
ドイツではヒトラーが政権をとった年である。
劇中でマスタードガスにやられる兵士がでてくるが、ヒトラーもマスタードガスで失明しかけた過去があるのを思いだした。
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今の日本で、第二次大戦のことを実体験として語ってくれる世代にはぎりぎり会うことができる。
1933年生まれの我が母もそのひとりだ。
だが、ちょうど百年前に終わった第一次大戦を実体験として語れるひとは、さすがにもう生きてはいない。
いわば、もう歴史上のことになりつつある。
だが、そういう「伝えるべき歴史」を、見る人に自分のものとして感じさせてくれる物語映画は、大きな役割をもっていると思う。
だが、この映画は日本では公開されず、表題の日本語タイトルでDVDだけ発売されたそうだ。
こういう映画に出会えるのが、機内映画の価値であります(^.^)
2014年の日本未公開の映画
